そんな方々へ、つまみ食い的にメタルを愛好する筆者が好きなアルバムを紹介させていただく。メタルにあまり馴染みのない方々にとって、気軽な入り口となれば幸いである。
アグレッシブな咆哮と哀愁漂う美しく枯れた歌声の往来に脳が揺さぶりにあう!
トリ
今回はMOKOMAの最新作(執筆時)にして日本デビュー作ともなる「Hengen Pitimet」について記す。
メタルつまみ食い MOKOMA「HENGEN PITIMET」
HENGEN PITIMET
Release 2018/05/23
- Tienraivaaja
- Kepeät mullat
- Salaisuus
- Hirtehinen
- Linnut eivät enää laula
- Lahja
- Kesytä perkeleet
- Tahdon ihmeet takaisin
- Erhe
- Pienin kaikista
- Takatalvi (RE-RECORDING VERSION)
聴く者を揺さぶる二面性
まず簡単にMOKOMAについて触れる。
MOKOMA(モコマ)はフィンランドの5人組のメタルバンドである。2013年と2018年に来日もしている。
その音楽的特徴をあげればアグレッシブな側面における演奏と歌唱のクオリティの高さと、かつ一転トラディショナルな趣きもかなり味わい深く見せつけてくるというこの二面性である。このいったり来たりの揺さぶられる感覚が癖になるのだ。更にそこにフィンランド語での歌唱を貫く姿勢があり、そのどうも聴きなれない言葉も響きが心地よかったりする。
ジャンルで言えばスラッシュメタルやデスメタルに近いのだろうか。エクストリームメタルなどとも呼ばれているようである。
こういったサブジャンル的な細かい分け方はだいたい筆者にとって難解なため、あまり気にしていないのが実のところである。そのバンドはそのバンドとして捉えていれば個人的には特に問題なくむしろわかりやすい、などと半ばジャンルの理解を放棄している始末である。ということでこのジャンルがすき! という話は今の所ろくにできないのである。つまみ食い的と自称する所以である。
このHENGEN PITIMETの曲にいくつか触れたい。
MOKOMA 「HENGEN PITIMET」の楽曲ピックアップ紹介
01.Tienraivaaja
まずもって1曲目「Tienraivaaja」(読めない)でど直球なデスメタル的咆哮が筆者の耳を劈くわけである。slayerのような前のめりな勢いが炸裂するスラッシュリフで駆け抜けていく。サビではクリーントーンのボーカルで聴かせる一面も持ち合わせる。この曲ですでにアルバムのクオリティが垣間見える気がする。
歌詞に関しては、何やら「未来」そのものが聴くものをどこかへ連れ出そうとやってくるという観念的なもののようである。不思議な歌詞だ。
02.Kepeät Mullat
「Kepeät Mullat」(読めない)は入りがいきなり聴かせる哀愁ボイスでのサビである。そしてしっかりヘヴィな展開を織り交ぜる。MVにもなっている。
やたら横長な動画である。そしてなぜか本作でやたらクラシカルなメガネになっているボーカルのマルコ氏である。メタル臭いヒゲとロン毛がチャーミングである。そしてメガネも非常に似合っているがなんというかメタルっぽくない。
余談だが、筆者は2013年の来日時にMOKOMAのパフォーマンスを目撃している。
日本のメタルフェス「LOUD PARK2013」に出演した際、マルコ氏がステージを楽しそうに駆け、物販のものかは不明だがTシャツをいくつかガンガン客席にぶん投げていたのが印象的であった。実に楽しそうであったのだ。メンバー各位の装いについても、Tシャツにジーンズ的なラフさで妙に好感を持った筆者であった。
03.Salaisuus
「Salaisuus」(読めない)は何やら航海に出るかのような勇壮な趣のハードロックである。何とも沁みるリフである。なかなかのポップさを兼ね備えている味わい深い一曲。
07.Kesytä Perkeleet
「Kesytä Perkeleet」(読めない)は冒頭伝統的な音楽を思わせる旋律から、突如金切り声的なシャウトが響き渡るブラックメタルのような手法で持って激しさの塊に変貌する。冒頭のフレーズがヘヴィになってリフとして繰り返されるのも良い。
9.Erhe
「Erhe」(読めない)はスラッシュな入りのリフがかなりカッコ良い。音程の一定なサビが何とも若々しい現代的アプローチに感じる。非常にキャッチーな一曲である。聴きやすくオススメである。
10.Pienin Kaikista
アルバムのラストを飾るのは「Pienin Kaikista」(読めない)。
重く押し寄せるリフが何度も繰り返され、マルコ氏のデスボイスが響き渡る。徐々に張り詰めていく緊張感が弾け、その後のコーラスでは雄大さと哀愁を湛えるボーカルが堪能できるのである。ラストに相応しい聴きごたえある一曲。これまたオススメである!
11.Takatalvi (Re-recorded Version)
そして日本盤ではかのTakatalviが新録音で収録されている。
かつてそのタカタカと連呼するボーカルが面白方向でちょっと流行ったことがある曲であるが普通にカッコ良いMOKOMAの代表曲である。
冬が仕返しにやってくる、という歌詞の曲である。「油断したらまだそこにいた冬に痛い目にあわされて絶望!」みたいな感じだが、北欧の冬など如何にも恐ろしいに違いない。
日本盤だと対訳付きで非常に良い。
まとめ
MOKOMA Hengen Pitimeはスラッシ ーなリフやデスボイスが楽しめつつも北欧情緒が味わえる初心者にもオススメのメタルアルバムである。
いやはや、それにしてもMOKOMA、面白いものである。