トリ
この文章は2012年10月7日のことについて、かつてあまりに私的に記されたものである。
常に冗長で、無駄が多く、読むには多くの犠牲を払うだろう。
しかし当時の人間椅子のライブについて残したいためあえて掲載する。
当時の筆者は人間椅子のライブに数回いった程度の状態で、ライブ自体も初心者であった。
それを念頭においていただくと良いかもしれない。
(大変恐縮ながら知識不足でカバー曲は網羅できていない。ご了承いただきたい)
ということで人間椅子とRockRollyの対バンイベント「夕方のヒットスタジオR&N!?」である。
今更ライブレポート 人間椅子+RockRolly「夕方のヒットスタジオR&N!?」@下北沢GARDEN
下北沢GARDENに入る
ここに至るまでに余計な一悶着があった。
私の部屋の鍵が消え、部屋にはいれず、チケットは部屋のなか、みたいな話だがさすがに割愛する。
要は無事にライブが見られのである。
GARDENに入場した。
ドリンクチケットをビールに変える。
しかし若干邪魔なためいそいそと飲み干す。
やはり開場しばらくたち、客はそれなりにひしめいていた。
キャパも先日の高円寺(2012/10/5の高円寺SHOW BOAT公演)に比べ三倍は入るであろう。
これまで柱の脇や二階席の端など、なんとなく落ち着く場所を求めてキープしてきた。
しかし今回はそうもいかず、所在なげに客席の中央にふらりと行き着いてしまった。
しかもうっかり長身の客の真後ろなどに行き着いてしまう始末である。
むやみに先が思いやられた。
人間椅子のライブ開始
風鈴の音がなる。
人間椅子のオープニングSEとして昨今流れる「此岸御詠歌」である。
なんだかんだで聴くのは三回目である。CDには収録されないのだろうか。
人間椅子登場である。ここでようやく私は気づいた。
一昨日の鈴木氏はノーメイクだったのだ……!(これも2012/10/5の高円寺SHOW BOAT公演のこと。椅子ニンゲンというバンドで出演していたのだ)
不穏なギターが鳴る。
- 一曲目「賽の河原」
- 二曲目「りんごの泪」
いきなりかつての曲が演奏される。賽の河原では「一つ積んでは」の部分でその数だけ指を立てて手を挙げるようである。私は気づかずに普通に腕を上げていた。また一つ学んだということである。
- MCその1(だいたいこんな感じ)
鈴「こんばんは人間椅子です」
すでに疲れる鈴木氏。
給水を怠らない。
鈴「高円寺を出て下北沢に始めてやって参りました。今日はROCKROLLYのお客さんをかっさらいます」
和「今日は昔の曲をまずやります。続いては短くしてCDに収録した曲をフルバージョンでやります!」
私はまたしてもフルバージョンの陰獣が聴けるのか!?と期待する。
和「本邦初公開です」
おや? と思うとアルペジオが奏でられる。
- 三曲目「人面瘡」
まさかの人面瘡であった。
割と興奮して聴いていたらどこが長くなっていたのか判然としないという結果に。
またしても開演前ビールが悔やまれる。
セットリストを覚えるのだけでも一苦労なのである(隙を見て携帯にメモしている)。
- 四曲目「恐怖!! ふじつぼ人間」
MCその2(だいたいこんな感じ)
和「続いては最近のアルバムの曲です」
鈴「最近物忘れが激しいです。昔の曲は歌詞が染み付いてるんですけどね。逆に最近のは歌詞を思い出すのに必死ですよ。次の曲なんかさっきまで曲名を間違えてました。ギラギラしている世界ではなく、ギラギラした世界」
- 五曲目「ギラギラした世界」
- 六曲目「胡蝶蘭」
新曲から二曲。
胡蝶蘭ではまたしても木に接吻し鳥と会話する和嶋氏を想像して泣きそうになる。
- MCその3(だいたいこんな感じ)
和「Rollyとは二十年来の付き合いです。今回対バンできてうれしいです!」
和「初めて会ったのは大阪ですね。僕たちがイカ天で知名度をあげて呼ばれたイベントですよ。覚えてる?」
鈴「まったく覚えてません」
和「いやすかんちには勝てないと思いましたよ。彼らはデビューするって」
鈴「いや、逆にすかんちはデビュー済みでしょ、その頃」
和「僕たちがデビュー前だったのか。ってか覚えてるじゃないですか」
和「Rollyと僕らは割と70年代のロックに多大に影響を受けているんですよ」
そういってギターを鳴らす和嶋氏である。
- 七曲目 インスト曲
かっこいいロックインストであった。
赤と黒のイントロによく似ていたがなにかのカバーだと思われる。
- MCその4(だいたいこんな感じ)
ノ「みんな元気かー!」
ノブ氏、今日は多いに発声す。
- 八曲目「孤立無援の思想」
ノブ氏ボーカル曲は好きな曲が多い。
これもまた好きな曲である。
ウウウウーウウウーウウーウ、というあのコーラスは鈴木氏担当のようである。
そしてその瞬間ファンは手をワイパーのように左右に振るのが慣わしのようであった。
- MCその5(だいたいこんな感じ)
和「いよいよ我々の本領発揮です。後半戦は『暗い曲』でいきますよ」
- 九曲目 インスト曲(また出典のわからないインスト曲である。かっこ良かった。)
- 十曲目「相剋の家」
- 十一曲目「心の火事」
- 十二曲目「どっとはらい」
相剋の家はライブで聴くのはは二度目である。
前回はクリスマスプレゼントとしてアンコールで演じられた。
心の火事は最初曲名が思い出せなかったがこれまたライブで聴くと良い。
ライブDVD同様どっとはらいラストは実にしっくりくる。
良かった。
今日は対バンの先番なためアンコールはなしかと思われたが、ファンはすかさずアンコールをコールし始め、私もそれに参加した。
- アンコール
メンバーが再入場する。
和「アンコール許可もらいました!」
そしてRolly登場。
大歓声である。
まさかの椅子演奏でRollyボーカル参加でのセッションである。
観客のボルテージがいたずらにあがる。
曲目はBlackSabbathのPARANOIDである…!
コバルトブルーのカラーコンタクトにいつもの掘り深メイク、そして黒いブラジャー(イギリス製)装着という出で立ちである。
ひどく肌がきれいで、うっすらと胸毛があり脇毛を惜しげもなくさらす。
脅威の五十歳がそこにいた。
おかしなはなしであるのだが、ブラジャーが似合っている。
氏曰く”新キャラ”とのことであった。
溢れだす謎のカリスマ性を感じていた。
そんなこんなで人間椅子の演目は終了。
私は拍手をして見送った。
ROCKROLLY
先程の新キャラとはうって代わりスマートなジャケットをはおったRolly氏があらわれる。
ベース、キーボード、ボーカルの永井ルイ氏、ドラマーの小畑ポンプ氏も位置につく。
永井氏はきらびやかな衣裳、ポンプ氏は鈴木氏がひどく「共感を抱く」程の体躯である。
楽曲はRockRollyのものからT-REXなど往年のロックカバー、ジャングルブッダなるバンドでジャングルブッダというアルバムを出したさいのジャングルブッダという曲であったり楳図かずお氏の楽曲であったりと多岐にわたる。
永井氏はベースもキーボードも弾きこなし歌もうまく、ポンプ氏のドラムはその体躯に見合い轟音といって差し支えな音をたたき出し非常に迫力があった。
Rollyはギターはもちろん総合的なパフォーマンスが見ててわくわくさせられる。
エンターティナーを肩書きとするだけある存在感である。
今となっては廃盤になってしまったCDばかりだが、Rollyもまたこれらを聴けるようにしていきたいと宣言していた。
MCにおいて「今の日本でハードロックにメジャースケールを弾くのは人間椅子と自分たちだけですよ」と言い、今時のロックにおけるギターソロと自分たちのソロを弾き分けようとして、「だめだ染み付いとる」と結局いつも通り弾いてしまうという即興パフォーマンスがはいるなど面白い。
昔NHKのスタジオパークに出演した際もクラシックからメタルまでいろいろなギターを弾き分けるパフォーマンスをしているのを見たことがあったのを思い出す。
そんなこんなでRockRollyの曲は終了。
客からは早々にアンコールの声があがる。
メンバーが戻り、そしてSGが真ん中に設置される。
R「アンコールありがとう。ではセッションしてくれる日本一のギタリストを紹介します」
和嶋氏登場。
私はRollyの紹介にえも言われぬ謎のうれしさがこみ上げてくる それからは昔の話や最近ライブをしていると若いバンドに気を使ってしまう話など、同年代ならではのMCを始める。
「結局同年代がいいんですよ」とRollyは言う。
先ほどのRollyが試みた即興を和嶋氏も挑戦し、結果即興セッションが成り立つという全員の腕が眩しすぎた。
その後もMCは続く。
和「まぁ今時のバンドはこんな長くMCしないよね」
R「じゃあ行きましょうか。最後はお馬鹿ロックの頂点」
アンコールはKISSの曲からNOTHIN’ TO LOSEである。彼らの往年のロックへの想いが伝わるようだった。
まさに大団円といった体で演奏が終了。非常に盛り上がっていた。
私は満足し帰り際に新たな人間椅子のTシャツと人間椅子タオルを購入。
ついでにとある友人へささやかなお土産を用意しようとグッズを選びライブハウスを出る。
渡すのは年末年始になろう。
ライブハウスを出ればお好み焼き屋がある。
ドラマ「孤独のグルメ」で舞台になった店である。
私は空腹感を思い出し、そこでお好み焼きを食べて帰路についたのであった。
*
三連休の真ん中であった。
明日は銀座へ赴き、ヴァニラ画廊にてオリエント工業のラブドール展を見に行くつもりである。
なんという充実した連休であろうか。
おわりに
全くである。
まあでも観に行ったのは事実である(良かった)。
それを友人へ伝えたかったに違いない。
そんなことより人間椅子である。
こうして振り返ると彼らのMCは全くスタンスに揺るぎない。