【映画】『箱男』を観た!【安部公房】

石井岳龍監督の『箱男』を観てきた筆者である。

箱男といえば安部公房の小説が原作なわけだが、以前劇場で予告編を観て「こんなんなの!?」という衝撃的なビジュアルに驚いた次第である。

で、たまらず観に行った。

筆者
筆者

すごかった

そんなわけで感想なんかを書き記しておきたい。

※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。

『箱男』のほんわかしたあらすじ

「箱男」、それは人間の最終形態、すべてから解き放たれた存在である。

白物家電のダンボールで全身を隠し、街なかに溶け込む。

そして完全な匿名性のもと、他者を一方的に覗き見ることができるのだ。

カメラマンの「わたし」(永瀬正敏)はある日遭遇した箱男に魅了され、以来自らも箱に入っていた。

そして写真を撮り、スケッチをし、溢れ出る妄想をノートに書き留める。

しかしそれゆえにつぎつぎと押し寄せる苦難と危険が訪れる。

箱男に襲いかかるワッペン乞食(渋川清彦)、箱男を乗っ取ろうと画策するニセ医者(浅野忠信)、箱男を利用しようとする軍医(佐藤浩市)、箱男を誘惑する美脚女・葉子(白本彩奈)。

果たして「わたし」は本物の箱男になることができるのか?

筆者
筆者

そんな感じ!

『箱男』を観た感想など

とにかく画が強い。

街なかに溶け込む箱男、アーケードを駆け抜ける箱男、戦う箱男、佇む箱男。

とんでもなくいい感じである。

味がありまくるロケ場所に小道具、衣装もことごとくなんだか引っかかる。そして良い。

冒頭のモノクロシーンから引き込まれ、カラーになったと思ったら極彩色の箱男メイクである。

そして思った以上に多機能な箱ギミックと妙に広い箱内空間。

脳を揺さぶってくる世界観にやられた次第である。

そこに乗る緩急の強い音・音楽もなかなかに強烈。

キャラクターもとても良い。

3人の男は箱男という概念に翻弄されるのだがそのステージから超越した葉子の強さが大変素晴らしい。

そしてシュールな展開を見せるストーリーに「どう着地するの!?」という想いにとらわれるのだが、個人的にはラストは「こうあってほしかった!」と思えるラストで大満足した次第である。

トリ
トリ

実はかなり現代的なテーマでもあったのか!?ってな感じが立ち込めるな

筆者
筆者

そんなわけで、観て感じて楽しめる要素が満載である…!良い〜

おすすめである。

『箱男』の箱と小道具を観てきた@紀伊國屋本店

有楽町のTOHOシネマズシャンテにて箱男を観る前に、新宿にいた筆者である。

筆者
筆者

この日、映画館ハシゴをすべく、新宿のK’s cinemaに行こうとしていたのだ

ちょいと時間があったので紀伊國屋本店に何気なく入ったところ、なんと箱男の箱が展示されていたのであった。

2Fに行くと何やら看板が。
あの箱!安部公房作品が並んだコーナーにダンボールが展示されていた。
ディスプレイも箱男。
小道具展示も。
小道具リスト。
ポスター。右のポスターは永瀬氏による写真が使用されていた。
小道具。
謎の筆跡偽装デバイスとワッペン乞食の武器。
謝礼や遺書、写真。
「わたし」の武器となったワニ。
箱。この小窓のサイズに仕掛けがあるのである…!
箱の側面。
正面下部。ちなみにメーカー名のARGON(アルゴン)は、安部公房の魔法のチョークに出てくるアルゴン君からきているそうな。

箱や小道具との思わぬ遭遇に、にわかにテンションが上った筆者であった。

筆者
筆者

全然知らずに入ったら、とんだラッキーであった

おわりに

ということで「箱男」を観た!という話であった。

呆気にとられる可能性はあるが、体験としてかなり楽しめる映画である。

安部公房生誕100年の2024年公開となった本作だが、実は1997年に石井監督(当時は石井聰亙名義)により製作が決定していた(わたし・ニセ医者・軍医は同じキャスト…!)。ドイツで撮影する予定だったのだが、なんとクランクイン前日に突如撮影が頓挫した、という経緯がある。

石井監督はその昔、安部公房より直接「娯楽作品にしてほしい」と頼まれていたのだとか。

時を経てついに公開された箱男は完全に娯楽作品であった。

筆者
筆者

たのしかった〜

筆者としては初の石井岳龍作品体験だったわけだが、俄然興味が出たのであった。

安部公房原作映画といえば勅使河原宏作品だったが、それらとはまた全く違う味の良さに満ちていたとも思う。

筆者
筆者

余談だけど、高校の現国の教科書に安部公房の「赤い繭」収録されてて、後に他のもいくつか読んだのだが、どう映像化されてるのか知りたくてその流れで学生時代に勅使河原宏のDVDBOX買っちゃった派である。

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