加えて、都内のワンマンライブには2011年からほぼ欠かさず通っている筆者が、アルバムにおけるライブ定番曲も紹介する。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
トリ
人間椅子を聴くべし vol.7 「此岸礼讃」再デビュー前夜に立ち込める熱量溢れる胎動
此岸礼讃
2011.08.03 Release
- 沸騰する宇宙
- 阿呆陀羅経
- あゝ東海よ今いずこ
- 光へワッショイ
- ギラギラした世界
- 春の匂いは涅槃の薫り
- 悪魔と接吻
- 泣げば山がらもっこ来る
- 胡蝶蘭
- 地底への逃亡
- 愚者の楽園
- 地獄のロックバンド
- 今昔聖
アルバムの特徴 此岸礼讃
ライブで大定番! という曲はないものの渋い良曲が揃っているアルバムである。
ちなみに此岸礼讃が発売後に出演したOZZFEST2013では以下2曲が披露されている。
- 阿呆陀羅経
- 胡蝶蘭
再デビューに先駆けて人間椅子の勢いを作る足がかりとなったアルバムともいえよう。
メタリック攻撃的な音で奏でられているのも特徴。
人間椅子が常々持っている幻想・非現実的要素とは少し距離をおいた、現実を見据えてそれを肯定するような視点が感じられる。
ちなみに当初、とある超然的なテーマで制作されていたものの制作中に東日本大震災があり、テーマを変更したという経緯がある。
参考
人間椅子 イカ天出演から22年 傑作アルバム「此岸礼讃」堂々完成音楽ナタリー
ちなみにレコ発ツアーではメンバーの強い希望により被災地仙台での追加公演が行われている。
筆者がリアルタイムで初めて購入した人間椅子のアルバムが此岸礼讃である。個人的に非常に思い入れのある一枚。
初めて行った人間椅子のライブも、此岸礼讃のレコ発直後に渋谷のタワレコで行われたインストアライブである。
此岸礼讃の収録曲紹介
ライブ定番度の目安
★★★:かなり聴ける!必修曲。
★★☆:ちょいちょい聴く!
★☆☆:レア気味。レコ発以外で聴いてないかも?
☆☆☆:公認のレア曲
※筆者の感覚的な尺度なのでご了承いただきたい!
01.沸騰する宇宙
ライブ定番度:★☆☆
アルバムの幕開けは力強いイントロが鮮烈な沸騰する宇宙である。タイトルの通り、強大なものが不意に動き出したかのような印象の曲。
2016年ファンクラブの集いにて演奏されている公認のレア曲だが、その後ツアーで何度か演奏されている。
筆者オススメの一曲。ギターソロもかっこよい。
02.阿呆陀羅経
ライブ定番度:★★☆
アルバム中では演奏される頻度が高めの曲。3名でボーカルを取っており、コーラスも面白い。ザクザク刻むリフやリフからソロへの繋ぎのフレーズ、そしてソロと演奏ももちろん聴きごたえあり。
OZZFEST2013で一曲目に演奏された曲である。
03.あゝ東海よ今いずこ
ライブ定番度:★☆☆
鈴木氏の小節がきいたボーカルが非常に渋いヘヴィな一曲。メインリフのうねる旋律が不穏な空気感を醸し出している。
ちなみに東海とは日本のことである。
04.光へワッショイ
ライブ定番度:☆☆☆
タイトルには気が抜ける感があるが、力強く地を踏みしめて進むかのような意志を感じる一曲。ライブでは久しく聴いていない。そして2013年のファンクラブの集いにて演奏されている公認のレア曲である。
「人間は光になるために生まれてきた存在だ」という和嶋氏の思いが込められている。
ソロの前に自分で「ギター」と言う和嶋氏が面白い。
05.ギラギラした世界
ライブ定番度:★☆☆
疾走感とハードロックな趣き溢れる一曲。サビの和嶋氏と鈴木氏のハモりがかっこいい。
今の世のあり方を問うような歌詞であり、震災以降の作品という色がよく現れている。
06.春の匂いは涅槃の薫り
ライブ定番度:☆☆☆
曲長9:45と言う壮大な曲。ラストのアウトロのソロが非常にドラマティックである(2分くらい演奏される)。
ファンクラブの集い2015にてレア曲として演奏されている。
07.悪魔と接吻
ライブ定番度:★☆☆
スピード感のあるリフに乗る不埒で頽廃的な歌詞が実にかっこいい。
08.泣げば山がらもっこ来る
ライブ定番度:★☆☆
「もっこ」再登場の一曲。鈴木氏の方言全開の歌唱が魅力である。
09.胡蝶蘭
ライブ定番度:★☆☆
8分超えの大作。和嶋氏の自然への愛が溢れる非常に美しい曲である。
この曲もOZZFEST2013で演奏されている。そしてファンクラブの集いでもレア曲として演奏されている。間をとって★☆☆とする!
10.地底への逃亡
ライブ定番度:★☆☆
とても鈴木氏作曲感の強い曲である。ソロが独特でカッコ良い。鈴木氏の絶叫もよし。
11.愚者の楽園
ライブ定番度:★☆☆
現代人の生き方に対する警鐘のような曲。真の豊かさを我々に問いかけてくる。
12.地獄のロックバンド
ライブ定番度:★☆☆
鈴木氏作曲の曲でおなじみの地獄シリーズの一曲。鈴木氏の鬼気迫る声が実に良い。
13.今昔聖
ライブ定番度:★★☆
筆者イチオシの曲。カッコ良さと尊さでもう大感動である。フェイザーのかかった揺らぐギターによる超然としたイントロからグッと惹きこまれ、シンプルながらヘヴィなリフが実に心地よい。ラストの怒涛のギターソロでは和嶋氏のお家芸的な三味線風フレーズが繰り出される。同じ弦で激しく高低を行き来する様はまさに鬼気迫る響き。
余談 此岸礼讃への道
此岸礼讃購入時、タワレコでの初回購入特典として特典CDがついた。
この此岸礼讃への道には初めてのセッションやデモの様子や和嶋氏のフレーズを練る様子が収録されている。
デモでは仮歌の状態で演奏がされていて面白い。
トラック4、6は和嶋氏が一人構想を練る様が収録されている。
ちなみに和嶋氏がかつて住んでいたアパートでギターの練習に窮し、とある公園の一本の木の側に落ち着いたことがあるという。胡蝶蘭や今昔聖の骨子はそこで作られたそうだ。つまりその様子もこのCDに収録されているのである。
確かに外で演奏されているようであり、鳥の囀りなんかが聴こえてくる。
トラック6の今昔聖には此岸礼讃のツアーのSEとして作られた「此岸御詠歌」(萬燈籠収録)の元となったであろうフレーズも収録されている。
まとめ
此岸礼讃は震災後に作られた人間椅子の16枚目のスタジオアルバムである。
ライブ定番曲は少ないものの人間椅子再デビューのきっかけとなった一枚と言える必聴盤である!
いやはや、それにしても此岸礼讃、面白いものである。