加えて、都内のワンマンライブには2011年からほぼ欠かさず通っている筆者が、アルバムにおけるライブ定番曲も紹介する。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
トリ
人間椅子を聴くべし vol.9 「真夏の夜の夢」夢と幻想に満ちた14枚目のスタジオアルバム
真夏の夜の夢
2007.08.08 Release
- 夜が哭く
- 転落の楽典
- 青年は荒野を目指す
- 空飛ぶ円盤
- 猿の船団
- 閻魔帳
- 白日夢
- 牡丹燈籠
- 世界に花束を
- 膿物語
- 肥満天使 (メタボリックエンジェル)
- どっとはらい
どっとはらい
膿物語
アルバムの特徴 真夏の夜の夢
夢と幻想にまつわる曲が多い14枚目のアルバムである。定番曲は少なめ。
ただし重要曲のどっとはらいや鈴木氏のキラーチューン膿物語、肥満天使と言った名曲多し。それ以外の曲も目立たないが渋い良曲ばかりのオススメアルバムの一つである。
ちなみに和嶋氏の自伝屈折くんやインタビュー等でも語られたように、氏が人生において最も苦しんでいた期間の終わりの頃と本アルバムの製作時期が重なる。
その時期に多くの涙を一人流した和嶋氏はそこで芸術の一端を掴んだという。
これはつまりは、真夏の夜の夢こそが再デビュー以降の人間椅子の勢いの萌芽とも呼べるアルバムなのである!
真夏の夜の夢の収録曲紹介
ライブ定番度の目安
★★★:かなり聴ける!必修曲。
★★☆:ちょいちょい聴く!
★☆☆:レア気味。
☆☆☆:公認のレア曲
※筆者の感覚的な尺度なのでご了承いただきたい!
01. 夜が哭く
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
さまざまな想いが夜の風を調べに変えるという一曲。
汽車を連想させる軽快なリフや闇夜の風を感じさせる唸るベースが印象的な。曲が変わったかと錯覚するくらい大胆な展開も面白い。
02. 転落の楽典
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
なかなかハードな焦燥感ある不穏なリフと妖しい鈴木氏のボーカルが良い。詞もまた不穏である。サビのコーラスも力強い。
03. 青年は荒野を目指す
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
耳につくのは荒々しい鈴木氏のボーカルである。なかなか声の表情が豊かな鈴木氏のボーカルスタイルに気付かされる一曲。
四分で淡々と鳴るベースが青年の地道な歩みを感じさせる。渋みに富んだロックである。
04. 空飛ぶ円盤
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
イントロがすごく良い宇宙シリーズの一曲。懐かしさすらある。
無重力を揺蕩うような不思議な聴き心地が良い。
多分今ライブでやったらテルミンが使われるであろう。
05. 猿の船団
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:ノブ氏
本作におけるアニキ曲。ライブでもたまに聴ける軽快なロックンロールである。
アニキのイェーイが曲中でもたくさん聴ける。
コーラスも非常に良いので聴くべし。
06. 閻魔帳
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
鈴木氏らしいリフと歌唱が堪能できる重苦しい閻魔の曲。地獄感満載。
07. 白日夢
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
和嶋氏によるアルペジオが夢心地な安らかなる一曲。仏教の香りが微かに香る独特な詞である。
08. 牡丹燈籠
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
怪談モチーフの一曲。念入りに怨念を練り上げるかのようなどんよりとした旋律が秀逸。クライマックスのテンポアップする様もぞくぞくである。
09. 世界に花束を
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
「戦地から家族へ宛てられた手紙」をモチーフとした詞を和嶋氏が朗読するスタイルの曲。後の十三世紀の花嫁のような感じである。
和嶋氏が訥々と、しかし切に読み上げる手紙には鬼気迫るものがある。
10. 膿物語
ライブ定番度:★★★
ボーカル:鈴木氏
たまにあるパチンコシリーズ。
おどろおどろしい詞は鈴木氏らしく視覚に訴えかけてくる。とても気持ちが悪い!
ちなみにギターソロは鈴木氏が「ここまでの14枚のアルバムで一番かも」と賞賛するほどで、和嶋氏本人も自信作とかつて語っている。
11. 肥満天使 (メタボリックエンジェル)
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:鈴木氏
この頃には大分肥えた鈴木氏による面白い曲。ただし詞とタイトルは面白いがこれがまたカッコ良いのである。
12. どっとはらい
ライブ定番度:★★★
ボーカル:和嶋氏
これでお仕舞い、という意味のタイトル通りライブでは終盤に演奏されることが多い。リフといいサビといいカッコ良い。シュールな詞や21世紀の精神異常者のごときトリッキーな間奏など聴きどころも多い。
動画を貼っておく
この時期はMVがないため、かわりに公式によるライブ盤「威風堂々~人間椅子ライブ!!」のトレーラーを貼っておく。
3:45から膿物語が少し聴けるので是非!
まとめ 真夏の夜の夢を聴くべし
ということで14枚目のスタジオアルバム真夏の夜の夢を紹介させていただいた。
気になってしまった方は是非聴いていただきたい限りである。
いやはや、それにしても真夏の夜の夢、面白いものである。