加えて、都内のワンマンライブには2011年からほぼ欠かさず通っている筆者が、アルバムにおけるライブ定番曲も紹介する。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
トリ
人間椅子を聴くべし vol.10「瘋痴狂」アニキ色の強い魅惑の13枚目
瘋痴狂
2006.02.22 Release
- 雷神
- 二十一世紀の瘋痴狂
- ロックンロール特急
- 品川心中
- 青い衝動
- 無慈悲なる青春
- 不惑の路
- 山椒魚
- 恐怖!!ふじつぼ人間
- 孤立無援の思想
- 暗黒星雲
- 幻色の孤島
必修曲
品川心中
恐怖!!ふじつぼ人間
アルバムの特徴 瘋痴狂
読みは「フーチークー」である。
ロックンロールでブルージーな趣が強いアルバムである。
特筆すべきはアニキことナカジマ氏のボーカル曲が3曲も含まれているという点である。全アニキファンに嬉しい構成であろう。
定番曲はやや少ない。しかし(毎回言っている気がするが)非常に味があるアルバムである。
名曲品川心中も収録されている。
MVも要チェックと言える。
瘋痴狂の収録曲紹介
ライブ定番度の目安
★★★:かなり聴ける!必修曲。
★★☆:ちょいちょい聴く!
★☆☆:レア気味。
☆☆☆:公認のレア曲
※筆者の感覚的な尺度なのでご了承いただきたい!
01. 雷神
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
アルバムのオープニングを飾るのは鈴木氏らしさが滲み出るリフがなんとも良い一曲、雷神である。
雷っぽい暴力的なフレーズとねっとりしたボーカルがたまらない。
02. 二十一世紀の瘋痴狂
ボーカル:和嶋氏
ライブ定番度:★☆☆
アルバムのタイトルを冠した一曲。軽快なリフとコーラスワークが印象的。
ラストのブルース感がものすごいフレーズは今時なかなか聴けなそう。
和嶋氏ならではであろう。
03. ロックンロール特急
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:ナカジマ氏
タイトル通りロックンロール全開な一曲。ナカジマ氏のボーカルが堪能できる。和嶋氏のギターソロも聴きごたえがある。
次の品川心中との落差も面白い。
04. 品川心中
ライブ定番度:★★★
ボーカル:和嶋氏
MVにもなっているアルバムのリード曲にして必聴曲であろう。
落語を題材にした曲であり、ギターソロだけでなく和嶋氏の落語パートもあり非常に人間椅子らしい新しさに富んだ展開である。
大正琴の音も使われていたりする。
ライブでも結構演奏される曲だが落語パートは流石に演奏しながらではなく、普通に(?)落語をする。
05. 青い衝動
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
延々と繰り返されるリフ一本勝負な男気溢れる鈴木氏曲である。鈴木氏とナカジマ氏のコーラスがなにいい感じな趣。
06. 無慈悲なる青春
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:ナカジマ氏
これまたナカジマ氏ボーカル曲である。陽気なボーカルの印象が強いナカジマ氏はマイナーなキーだと不意に切に迫る声に聴こえるのが面白い(蜘蛛の糸のように地獄系もいけるのである)。
和嶋鈴木両氏のコーラスも味わい深い。
07. 不惑の路
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
ねちっこい鈴木氏のボーカルが最高な一曲。
そこに乗るナカジマ氏のコーラスが一抹の清涼剤となりなにやらハッとさせられる対比も良い。
間が味わい深い和嶋氏のブルースソロがここでも発揮される。
ソロ後にテンポアップする展開もよい。
08. 山椒魚
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
サンショウウオの歌である。
サンショウウオ感がでている。
微妙に勇壮な展開なのが楽しげで良い。
09. 恐怖!!ふじつぼ人間
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:鈴木氏
筆者はまずタイトルにやられた一曲。曲自体も最高などろどろ感である。
鈴木氏のお家芸ともいえる視覚に訴えかけまくってくる詞が最高。
ちなみにライブだとパフォーマンスの一貫でふじつぼ人間が出てくるのが「ご当地のお城のお堀」に変えられたりして面白い。
10. 孤立無援の思想
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:ナカジマ氏
コーラスが最高な一曲。
これまたナカジマ氏ボーカル曲。比較的ライブで演奏される一曲である。
アルバム収録のアニキボーカル曲3曲ともに色が異なるのである。
毎回「覚悟なら」が「カルボナーラ」に聴こえる。
11. 暗黒星雲
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
無理やりくくれば宇宙シリーズであろう。しかしながらかつてなくダークな響きである。
重苦しくも、フェイザーのかかったギターが妙な浮遊感を演出しているのが面白い
12. 幻色の孤島
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:和嶋氏
和嶋氏による文学、というか日野日出志先生の漫画モチーフの大作である。
ナカジマ氏が日野日出志先生大好きというところから和嶋氏が着想を得たとか。
へヴィでプログレッシブな聴きごたえ抜群の一曲である。人智の及ばぬ野性味がちらつく。
後半まるまる半分くらいは歌がなくなり暗黒のプログレインストと化す。
まとめ
ということで瘋痴狂の紹介であった。
ナカジマ氏の存在感が際立つアルバムであり、しかしそれもまた全くもって人間椅子なのである。
なかなかに味わい深いアルバムなので繰り返して聴くべきであろう。
いやはや、それにしても瘋痴狂、面白いものである。