このシリーズではBiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiREを擁する音楽プロダクションWACKの音源を紹介する。
曲はもちろん、背景などにも触れつつ紹介していきたい。
ロックでエモーショナルな曲の数々をひもときつつ、これからWACKの音楽に触れる方の少しの助けになれば幸いである。
トリ
2019年7月3日、BiSHが1年と8ヶ月ぶりに新作オリジナルアルバムをリリースした。
「#BiSHアメトムチ」プロジェクトなるプロジェクトが4月から続いていてのいよいよのリリースである。
【WACKを聴くべし】BiSH「CARROTS and STiCKS」凶悪な振れ幅の二面性に溺れるアルバム
CARROTS and STiCKS 収録曲
- DiSTANCE
- 遂に死
- MORE THAN LiKE
- FREEZE DRY THE PASTS
- CHOP
- I am me.
- NO SWEET
- O・S
- まだ途中
- 優しいPAiN
- アイデンティテ
- FiNALLY
- CAN YOU??
- GRUNGE WORLD
二枚組を買うと、シングル曲をまとめたディスクが付いてくる。
- PAiNT it BLACK
- Life is beautiful
- HiDE the BLUE
- NON TiE-UP
- stereo future
- 二人なら
- Small Fish
BiSH「CARROTS and STiCKS」はこんなアルバム
かなり尖った曲、売れ線のその先を臨む曲、そしてそのどちらにも属せずに聴かせにくる曲とかなりの触れ幅で聴く側をぐわんぐわんに揺さぶりにかかってくる。
その様はもはやBiSHらしい、WACKらしい、そんなアルバムである。
なんかよくわからんがすごそう!
ちなみにモモコはインタビューにて以下のように語っている。
モモコグミカンパニー:全部新曲なんですよ。
それでいて、何か入ってくるんですよね。
メンバーが作詞している曲とかもあったりして、全部新曲なのに14曲全部ジャンルが違う。
けどBiSHっていう、すごい面白いアルバムとなりました。
参考
BiSH『CARROTS and STiCKS』は「最大限を出し切ったと思えるアルバム」TOKYO FM +
なるほど!
ということで各曲を紹介していきたい。
BiSH「CARROTS and STiCKS」各曲紹介
事前にApple music限定で聴けた音源「CARROTS」と「STiCKS」はそれぞれ「アメ」と「ムチ」というコンセプトがあり、アメは聞き馴染み易い曲調の曲、ムチは尖った曲と真っ二つに雰囲気が割れているのが面白いところ。
今回はメンバー作詞が減っている印象だが、本気のアルバムゆえに渡辺氏も本気を出したのかもしれない。
メンバーから見ても渡辺氏が描きたくなっちゃったという気持ちが出てるように見えたようである。
DiSTANCE
リード曲にして、アメ側でもムチ側でもなさそうな、なんとも印象的な一曲。
筆者としてはアルバム内でも屈指のオススメ曲である。
超然としたMVも必見。
じっくり聴くべし。
遂に死
先駆けてMVが公開された、ムチ側を代表すると言える攻め攻めな一曲。
激しい音とデジタル感の強いアレンジ、簡単には身を委ね難いサビとかなりせめている。
あらゆる死亡フラグが襲いかかるMVもなかなかよさげである。
おすすめ曲である。
MORE THAN LiKE
3曲目はアメ側のMORE THAN LiKE。
曲のテーマっぽいギターフレーズが落ちサビから最後にかけて心に響き渡ってくる感じもグッとくるのである。
FREEZE DRY THE PASTS
強度高めなムチ曲。おすすめ。
不穏な展開と、突如なだれ込むシューゲイザー的な音の塊が激しくかつ心地よい。
筆者の勝手なイメージだが、やや珍妙な歌詞は恐らく松隈氏の仮歌が採用されたケースではと睨んでいる。
ちなみに振り付けは「共依存」がテーマとのこと。
CHOP
モモコ作詞曲。
荒ぶる現代っ子の生きづらさを感じさせる(?)。
曲調としては旧BiSのSTUPiGをどことなく感じるデジルハードコアな一曲。
筆者としてはかなりキャッチーに感じるがムチ側の曲であろう。
これまたおすすめ曲である。
I am me.
なにやら感じさせるMVが公開されているアメ側の代表曲の一つ。
BiSHじゃなかった人生を送るメンバーを描いたやつ!
軽快なギターが印象的ながら、総じてしっとりと聴かせてくる。
NO SWEET
これまたアメ側の一曲。
じんわり染み込むような優しげなメロディーと鼓動のように鳴り響くキックの音がとにかく心地よいのである。
O・S
リンリン作詞のムチ曲。
オーバーソウルと読むようである。
なにやらシャーマンキングが着想の元としてある、との旨のリンリンからの発言がインタビューにて語られている。
激しいながらもかっこよく聴き易い曲である。
まだ途中
モモコ作詞のアメ曲。
青春感のある曲調。曲の終わりがなかなか印象的。
優しいPAiN
ムチ曲。非常に良い。
BiSHの始まりの曲であるスパークをどことなく感じさせる。
インタビューによるとアイナが作った振り付けもまたスパークが壊れていくような形になっているという。
余談だが筆者的には最後のサビのチッチの声が好きすぎる。
特におすすめな一曲である。
アイデンティティ
不穏で焦燥感を感じさせるがキャッチーさも感じられるサビ的にアメ曲な気もする(わからん)。
アイナが言及しているような、渡辺氏の見せる弱さの部分が色濃く出た詞に心揺さぶられた筆者であった。
FiNALLY
チッチ作詞のムチ側の曲。
ラップのような音程をあまり感じさせないサビは文字がとても多く、ワルい響きが良し。
間奏もかっこよい。
チッチが作詞しており、“冷酷に少しずつ溜まっていくフラストレーション”を表現しているという。
互いに初期メンバーであるアイナから見ても、取り繕わない詞を書くようになったチッチと5年続けられたことが嬉しいとのこと。
CAN YOU??
アメ曲。
青春パンク的な曲。
曲調に合わせてか、アイナの詞も非常にストレートである。
余談だが詞の中に「目を合わせるということ」というフレーズが出てくる。
GRUNGE WORLD
アルバムラストを飾る14曲目。
しっとりと、しかしなんだか力強い一曲。作詞は100%渡辺氏のようである。
BiSH「CARROTS and STiCKS」初回盤を買ってみた
BiSH「CARROTS and STiCKS」合わせて読みたいインタビュー
メンバー6人でのインタビュー。
参考
BiSH『CARROTS and STiCKS』 6人の多面性を見せつけた最凶最悪最高最幸の超大作を語る!MiKiKi
アイナ、チッチ、リンリンの3名でのインタビュー。
ラジオに出演した際のショートインタビュー。
おわりに
ということでBiSH「CARROTS and STiCKS」の紹介であった。
相変わらずのクオリティの高さにビビるばかりだが、とても良いアルバムなのである。
しかしながらとんがった試みを適度に混ぜた結局のところかなりWACKらしい作品に仕上がっているだろう。
いやはや、それにしてもBiSH、いいものである。