そんな方々へ、つまみ食い的にメタルを愛好する筆者が好きなアルバムを脈絡なく紹介させていただく。フィーリング重視なやわらかすぎる内容となっている。
メタルにあまり馴染みのない方々にとって、気軽な入り口となれば幸いである。
複雑怪奇の果て! 諸行無常の響き此処に在り!
トリ
五人一首「五人一首」の日本的プログレッシブデスメタルを堪能すべし
五人一首って?
五人一首(ごにんいっしゅ)は、複雑怪奇な構成と神秘的旋律が存在する世界を、まるで紙芝居のように五人で織りなす、デスサウンドとプログレッシブロックの融合を目指す重低音バンドである。
なお五人一首のバンド名の由来は”五人で一つの唄を詠む”ということに由来する。
「静」と「動」の巧みな使い分け、、、旋律とデス・ヴォイス、繊細なピアノと畳み掛けるピアノ、、、ライブでは言霊を聴衆の頭上から降り注がせ、既存の音楽性に縛られないモノを形成することに全精力を尽くした結果として、観る者・聴く者に何も考える暇を与えない無我を強いる。
五人一首に触れたものは、各々に「プログレ」、「デスメタル」、「ゴシック」、「和風系」、「テクニカルシンフォ」などと表現するが、ジャンルのカテゴライズは最早意味を持たない。
妖しくも美しい世界観を怒涛の演奏でもって聴くものへ叩きつけ圧倒するバンドだと感じる。
ヘヴィで不可思議で、凄まじい。そんな音が次から次へとなだれ込んでくるのである。
それでいてどこかキャッチーさを感じるのだから驚くばかりである。
「五人一首」収録曲
- 狂骨の夢
- 経文刻印身体
- 二人遊び
- 月と半魚人
- 楼の主
- 経文刻印身体 -Demo 1999-
6曲だが収録時間はなんと50分。
イントロ的な狂骨の夢以外は8分オーバーである。
しかし長さを感じさせない聴き応えある展開が続くのである。
「五人一首」各曲紹介
狂骨の夢
オープニングを飾る1分半ほどのインスト。
かの大作家京極夏彦先生の代表シリーズの3作目からタイトルを取っていると思われる。
変拍子の中でベースとピアノが大胆に曲を動かしギターが激しく刻まれる。
そしてシンセサイザーとリードギターが展開を魅せ駆け抜けていくのである。
経文刻印身体
耳なし芳一を彷彿とさせるテーマの曲である。
ボーカル松岡氏のアグレッシブなデスボイスのボーカルの後に来るクリーンな「琵琶」の歌唱はなかなかハッとする。
二人遊び
重厚なイントロから始まる3曲目。
間奏も不思議な響きのギターのロングトーンとベースの掛け合いが面白い。
その後のシンセサイザーソロも凄まじい。
月と半魚人
10分超えの大作。
静かな入りから徐々に高まる2分40秒ほどのイントロから始まる。
サビは非常にエモーショナルな歌いまわしでカッコいい。
その美しい歌唱の後にギターとシンセサイザーのソロでさらなる盛り上がりを演出している。
10分越えでも聴き入ってしまう構成である。
楼の主
目まぐるしい演奏で幕を開けるラスト曲。
遂にはイントロで4分超である。
しかしものすごいドラマティックな展開でむしろイントロが一番聴き応えがある可能性すらある。
音が面白い詞だが、不意に吐き出すようなボーカルに変じて度肝を抜かれっぱなしである。
10分くらいでいったん曲が終わるようだが、実は続きがある。
アンビエントな趣のアウトロが静かに、しかしどこか不穏に残響するのであった。
おわりに
ということでメタルバンド五人一首の1stアルバム「五人一首」の紹介であった。
壮絶さの中にあるキャッチーな趣を是非体感していただきたいものである。
いやはや、それにしても五人一首、見てみたいものである。