このシリーズは、これから人間椅子を聴いてみたい・人間椅子のライブに行ってみたいと考えている全ての人へ向けたアルバム紹介の記事である。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
カッコいいぞ!
人間椅子を聴くべし「色即是空」
2023年9月6日発売
色即是空について
人間椅子23枚目のオリジナルアルバムである。
通して、人として、自分としていかに生きるか、そんなテーマを感じさせる。
人間椅子として貫かれる変わらない姿勢を大いに感じさせつつも、音楽的にもメッセージ的にも新たな面も見せてくれるアルバムとなっている。
アートワーク
ジャケットには、大日本仏像連合でもおなじみの盟友みうらじゅん氏が描いた重要文化財の仏像 「深沙大将(じんじゃたいしょう)」のイラストが使用されている。
深沙大将は仏教の守護神らしいぞ
また題字は書道家の宮田天風氏による。
過去作を聴き込んでどんな字に仕上げるか練り上げたとのこと…!カッコいい字!
さらにアーティスト写真は170年前の明治維新の古典写真技法である湿板撮影法で撮影されている。
和田高広氏が代表を務める写真館LIGHT & PLACEにて撮影されたそうな。
このように今作のアートワークも力が入っており、そのデザインは目を見張るものがある。
アルバムのコンセプト
タイトルからも収録曲からも、なにやら現代に即したメッセージ性が立ち込めている。
未だ「夜明け前」といった現状に聴きこまざるを得ない一枚であろう。
どっちにしても聴き込むわけだが。
ちなみに仏教用語である色即是空という言葉は、この世のすべてのものには実体がない、という意味だそうな。
虚無的な言葉にも感じられるが、実際は苦しみからの解脱を目指す仏教的な救いのニュアンスもありそうな予感(よくわからん)。
詳しくは、2023/8/1に各音楽メディアにて和嶋氏の言葉でアルバムコンセプトが公開されているので是非チェックしていただきたい。
色即是空の収録曲
- さらば世界
- 神々の決戦
- 生きる
- 悪魔一族
- 狂気人間
- 人間の証明
- 宇宙電撃隊
- 宇宙の人ワンダラー
- 未来からの脱出
- 地獄大鉄道
- 星空の導き
- 蛞蝓体操
- 死出の旅路の物語
曲紹介
そんなわけで以下、いつもどおりフィーリング重視で曲を紹介していきたい。
さらば世界
作詞・作曲 和嶋慎治
一曲目から8分の大作である。
アルバムのラストにも配置されうるような壮大さを感じさせるイントロではじまる。
いきなりアルバムへの期待が膨らむ!
ダウンチューニングの重いリフだが、メタリックな響きの音も用いられており、なにやら緊迫感が醸し出される。
絶望めいた世界観にのぞかせる先への希望、そこへ向かう決意めいた中間パート、そしてラストの終わったかと思わせてのキメと聴き応え満点。
さ〜ら~ば〜世界よ〜♪
神々の決戦
作詞 和嶋慎治 作曲 鈴木研一
前作に続き神々シリーズ(?)の一曲。
鈴木氏の曲だと感じさせる激重リフが良い感じである。
神々といえばこの重さである…!
微妙に相撲要素があるのも面白い。
はっけよ〜い〜はっけよ〜い〜
生きる
作詞・作曲 和嶋慎治
ストレートなタイトルに朗々と歌う和嶋氏のヴォーカルが何やら清々しい。
中間にてカウベルを用いたパートもあり楽しげ。
比較的短め。
なんだか懐かしげ!
悪魔一族
作詞 和嶋慎治 作曲 鈴木研一
冒頭の鈴木氏の嗤い声で思わずニッコリしてしまう。
しかし当然リフは凶悪、そしてサビはどこか軽快。
ライブ楽しそう!
転調も小気味よく心地よさがある。
ラストはあやしげなエロイムエッサイムからの椅子嗤いでシメ。
たまらん…!
来るぞ♪ 来るぞ♪
狂気人間
作詞・作曲 和嶋慎治
現代に沈着してしまった狂いに惑う人間の渇望を描いた和嶋曲。
どこか薄暗いテーマ性とは裏腹に全体的に小気味よいテンポ感である。
お家芸なロバート・フリップ風のソロも良い。
「お〜」のパートはライブで盛り上がる予感…!
人間の証明
作詞 和嶋慎治 作曲 鈴木研一
KISSのような趣を感じる鈴木さん曲。
鈴木さんは昨年KISSのライブを観に行ったそうだが、改めていいと実感したそうな…!
サビを全員でユニゾンするのがなんともいい感じである。
三人の声色がいい感じに合わさって響く。
タイトルは森村誠一の小説から借りたとのこと!
宇宙電撃隊
詞・作曲 和嶋慎治
今作最注目の一曲。
メタリカのようなリフから繰り出されるのは戦隊モノ・変身ヒーローのような世界観。
あまりにキャッチーなサビやシンガロングなどライブでも盛り上がることが予想される。
かなり好き…!
和嶋氏が激ロックの動画にて話していた「新たなポップさ」の一端を担っていそうな一曲である。
由来は空自に新編された宇宙作戦隊だそうな。
ラストにはテルミンも入ってるゾ
ファンファンファファン〜♪ファンファンファファン〜♪ファンファンファファン〜♪
宇宙の人ワンダラー
作詞 和嶋慎治 作曲 鈴木研一
タイトルに宇宙が入る曲が並ぶがこちらは鈴木氏作曲となる。
ライブではテルミンを駆使したパフォーマンスになりそうなオープニングから一転、硬質でダークなリフから繰り広げられる。
間奏もテルミンからになりそう。ライブでテルミンがセットされたらこの曲に備え構えるべし!
和嶋氏の宇宙系の詞も妖しくマッチしている。
ラストのまじない調のフレーズもポップさを演出しており良い。
ベントラベントラスペースピープル♪
未来からの脱出
作詞 和嶋慎治 作曲 ナカジマノブ
久しぶりのノブ氏作曲の曲。
モーターヘッドのような疾走感あるリフが心地よし。
ノブさんらしい!
対して和嶋氏の詞はディストピアを歌うものになっている。
激しいドラムを演奏しながらのノブ氏の歌唱は見応えがありそうな予感。
逃げ出せ、抜け出せ、の二人のコーラスと伸びやかなノブボーカルの対比も面白い。
今回のノブさんの叫ぶようなボーカル、なにやらちょいとオーケンみが感じられた
ライブでも楽しみである。
やっぱ一曲あるノブさん曲いい味出してるゼ
地獄大鉄道
詞 和嶋慎治 作曲 鈴木研一
地獄を冠する鈴木曲。
容赦なく突き進む地獄の大鉄道の歌となっている。
地獄シリーズ兼鉄道シリーズということになろうか。
リフも列車のごとくガタゴトしている。
どことなくドップラー効果っぽさが感じられる踏切の音も面白い。
曲名を歌い上げるサビのシメが大変よい。
間奏も素晴らしく、踏切のような不穏なギターの響きが特異。
これまたライブで楽しみ。
地獄〜大鉄道〜♪
星空の導き
作詞・作曲 和嶋慎治
和嶋氏作詞作曲のアコースティックナンバー。
美しく雄大な安らぎの一曲。
ライブにて和嶋氏のアコギを堪能したいところ。
またライブではノブ氏はコンガなどの手で叩く打楽器を繰る予感。
これもライブで聴きたいな〜
蛞蝓体操
作詞・作曲 鈴木研一
一転して凶悪な曲に転じる、今作の鈴木氏作詞作曲な一曲。
最高である。
フェイザーがかかったギターが蠕動する蛞蝓を想起させる。
パッと聴いて全然体操感ねぇ!と思わずにはいられないが、よく聴けばリフから反復動作のような趣が感じられ、なんとなく体操っぽい。
うむ。体操っぽい。
最近は地獄シリーズから生き物シリーズに志向をシフトした鈴木氏のシリーズ待望の2作目(1作目は前作の「恍惚の蟷螂」)。
蠢くようなおぞましい極悪リフに身を委ねるべし…!
沼の瘴気でいやます蠢動〜♪
死出の旅路の物語
作詞・作曲 和嶋慎治
ラストは和嶋氏作詞作曲となる大曲。
美しくも壮絶さのあるギターフレーズと疾走感あるリフが不思議なニュアンスを醸し出す。
不意にちょいと和なフレーズも挟むんだよな
それでいて裏テーマとしてはキリスト教的なモチーフが使われておりなんとも和洋折衷になっている。
旅路に待ち受ける災いを表していると思われる台詞のパートは、ヨハネの黙示録における黙示録のラッパ吹きをもとにしている模様。
ただしあまりやりすぎるとハルマゲドンソングになってしまい意図とズレかねないとのことで、ややアレンジが加えられたという。
無情のスキャット以来、最近は特に大胆にカタカナの音を詞に組み込んでいる印象。
ラストを飾るのにふさわしい荘厳さと、どこか新しい境地を感じさせる聴き込みたい一曲である。
死出の旅路の物語〜♪
パラッパラ〜♪
聴きながら読みたいインタビュー記事など
激ロック 人間椅子インタビュー
制作の話から各曲の解説・エピソードに触れたインタビュー。
執筆時点で今作に関するネット記事が少ないので貴重である。
要チェック!
2023/9/23追記 激ロック×HMV 【全曲解説】人間椅子『色即是空』
3人による全曲解説!
アルバム、楽曲に込められた想いを、本人たちの言葉で知ることができるのである…!
2023/11/26追記 ヘドバン vol.40
10周年を迎えたヘドバンだが、今号でもまた人間椅子の大ボリュームなインタビューが掲載されている。
毎度ながら読み応えありまくりである。
他では語られていないエピソードなどもあるゾ!
和嶋さんの連載コラムも読めちゃう!
初回限定盤を買った
予約して購入した。
お店毎に色々特典があったわけだが、筆者は楽天ブックスにて購入。
ちなみにDVD収録曲は以下の7曲。
- 侵略者
- 表徴の帝国
- 宇宙海賊
- 無情のスキャット
- 蜘蛛の糸
- 地獄からの料理人
- 宇宙からの色
レア曲もあり!
和嶋さんのテルミンプレイもあるぞ!
そんなかんじで初回盤もおすすめである。
おわりに
ということで人間椅子の23作目のオリジナルアルバム「色即是空」を聴くべし!という話である。
今作もヘヴィな曲が多く、聴き応え抜群である。
執筆時点で筆者は『色即是空 ~リリース記念ワンマンツアー~』のファイナルのチケットを購入している。
それを待ちつつ聴きまくりたいところ。
楽しみすぎる…!
いやはや、それにしても人間椅子、やはり最高のハードロックバンドである。
聴きまくろう!