この文章は、筆者がごく私的に友人に送り付けていた手記を今一度世に(なぜか)送り出す、という趣旨の記事である。今回は2013年のライブについてである。
当時の人間椅子のことを知る一助になればとは思うものの、ごく私的な手記を元にしているため余計な情報が大半を占めていることを留意されたし。
今回は2013年の人間椅子と犬神サアカス團との対バンについてである。
トリ
そしてかの2013年オズフェストジャパンの直後、今に至る大躍進がまさに始まろうとしてる時期でもある。
【今更ライブレポート】人間椅子インストアライブ@渋谷タワレコ 2013/7/28
ということでチケットを買おうと思い立ったところから始まるようである。
チケットを購入することにした
人間椅子が、なにやら犬神サアカス團と対バンをするようである。
犬神サアカス團のアルバム、「恐山」の1曲目「故郷和讃」にて、ネイティブスピーカーが必要だったためか、鈴木氏が語りとして参加している。
哀愁に満ちた鈴木氏による津軽弁の薄暗い語りが楽しめる1曲となっている。
そしてそのトーンが、鈴木氏の普段口にしている(と予想される)気だるげ発言にも聴こえるのが愉快絵もある。
このライブに行くために、犬神サアカス團を聴き始めたが、かなり大まかに言ってしまうと、犬神サアカス團も人間椅子と同じ方向を向いている。
むしろロックの見世物的局面をわかりやすく示そうとしているとも言えるのではなかろうか。
つまり観て聴いて楽しいに違いない。
これはいかねばなるまい、とチケットを買い求めたものである。
その「故郷和讃」は鈴木氏の津軽弁好きにはたまらないだろう。
開催地へ赴く
開場4時間前にうっかり千葉駅に降り立つ。
中途半端な心配性と多少歩き回ることを厭わない性分も相まって、初めて訪れる地ではよく時間を無駄にする。
この時もまた、初めての千葉駅になにを期待するでもなく、なんとなく早く来ていた。
失礼な話だが、思っていた以上にいなたいムードである。
せっかくだから徘徊しようと無駄に早く来たが、本当に無駄になるのではと俄かに戦慄した。失礼な話だが。
少し歩くとモノレールが走っていた。俺妹のラッピングが施されたモノレールである。さすが千葉…!
とりあえず会場の場所を確認し、結局漫画を読みながら喫茶店で時間をつぶすのであった。
開場が迫り、なぜかインタビューを受ける
さて、いよいよ開場といったところで千葉LOOKへ近づく。
黒いTシャツ率が高い空間ができつつあった。
そして、恐れていたことが起きる。
今日もまた人間椅子Tシャツを纏った見目麗しい女性が1人で開場待ちをしているのである。
先のオズフェストジャパンをはじめ、人間椅子のライブに行くたび、すべて別人だがそういった女性を目にしていた。
一人で、ライブに、そして人間椅子Tシャツ。
筆者はその光景を目の当たりにするたびに、多くの疑問が去来し(中略)、仮にもし仲良くなってしまったらどうしよう、などという妄想にかられ、そして毎度それがあまりに杞憂だという事実に安堵すら覚える。
というのを毎度繰り返すばかりである。
毎度コミュ障には荷が重い妄想といえる。
刹那にそんなことを考えていると、件の少女がなにやら男性2人組に話しかけられていた。何らかの取材という体であった。
気になったものの会場の入り口付近に動きがあり、そちらへ向かい整列待ちをする。
そうこうしていると、今度は筆者が先の男性2人組に話しかけられた。
何やらWebメディアによるインタビューであった。
3人の魅力は?、人間椅子に対する質問は?などという問を受け、はっきりいって悔いの残る回答しかできずライブ前にひどく落ち込んだことをここに記す。
インタビュー中に列が動き取り残される。気づけばそばに先の少女がたっており、はっとするが、整理番号がかなり若いらしく、さっそうと去っていったのであった。その後彼女を見かけることはなかった。
今宵も一期一会の椅子T少女との邂逅を喜び憂う。
全くである。しかし何も起きていないので問題はない。
そう、コミュ障には荷が重い妄想なのだ。
こちらが問いたいものである。その記事は以下のような形になったようだ。
参考
【インタビュー】女性ファン、急増中。『萬燈籠』をリリースした人間椅子の素顔に迫る!Qetic
あれはまじでなんだったんだろか。
いよいよ入場する
物販でタオルを買い、うっかりドリンクを先に交換し後悔した。邪魔なので飲み干す。
千葉LOOKは集まった人数に対してなかなかキャパぎりぎりといったところで、ぎゅうぎゅうである。
筆者は柱の傍に落ち着くのであった。
照明が落ち、あの鈴木氏の語りが流れる。先攻は犬神サアカス團であった。
(鈴木氏、生でやってくれればいいのに!)などと思いながら気持ちが前のめる。
犬神サアカス團の出番
筆者の予習具合は恐山とベスト盤を1枚聴いていただけだったが、十分楽しめた。
途中ギターアンプがぶっ壊れるアクシデントに見舞われ、ライブハウスのアンプと交換することになるも、かえって盛り上がる。
というのも、改名後はMCを極力減らしアングラ感を押し出す路線に変更したそうだが(それこそ心配になるくらいおとなしかった)、この際仕方なしと、ライブハウスのアンプに急遽切り替え中、しゃべりまくっていたわけである。
ちなみにボーカルの凶子氏はぷくりとした手首がなんとも愛らしい次第である。
約一時間のパフォーマンスののち、いよいよ人間椅子の出番となる。
人間椅子の出番
いつもの風鈴のSEがいやにながい。そのままメンバーが位置につき、演奏が始まった。
セットリスト
1.此岸御詠歌
2.心の火事
3.今昔聖
4.道程
5.猟奇が街へやってくる
6.針の山
EN1.天国に結ぶ恋
EN2.地獄風景
此岸御詠歌〜心の火事〜今昔聖
初の此岸御詠歌生演奏である(筆者が観ている限りでは、その後も生演奏されたことはない)。
そして今昔聖!
カッコ良い!
此岸礼讃において最も気に入っている曲である。
そうなのである。
鈴の音がいつも以上に長く続き、こんなバージョンあんの?と思ったらそのままメンバーが入ってきたのである。
そして演奏が開始されたのだ。
いつもと違う、その場限り(多分)の演出に驚かされたのであった。
MCはこんな感じ
オープニングSEつながりで、犬神サアカス團の故郷和讃について話していた。
曲中鈴木氏による「あー早く帰りてぇ」というセリフがあるわけだが、それがリハ中に聞こえてくる鈴木氏の口癖まんまであり、和嶋氏はひどくウケたそうである。
曲中では「人は死んだら恐山へ帰る」という意味での「あー早く帰りてぇ」なわけだが、たしかに疲れた鈴木氏の様子も目に浮かばなくもない。
必聴である。
やはりそのようである。
道程〜猟奇が街へやってくる〜針の山
新旧バランスよくコンパクトにまとめて本編終了であった。
そのままアンコールへ。
アンコール時のMCはこんな感じ
新譜(=後の「萬燈籠」)について話していた。
ノブ氏含め三人で作曲した非常にカッコ良い曲(=蜘蛛の糸)の存在や、鈴木氏が物凄いパフォーマンスを魅せる曲(=地獄変:所謂「椅子嗤い」と言う名の鈴木氏のソロが悶絶モノ)について触れていた。
鈴木氏によれば後者の曲は練習がかなり楽しいとのことであった。
オズフェス2013の勢いも相まって作り上げた新譜はヘヴィな曲揃いとの和嶋氏のコメントに否応無しに期待が高まるばかりである。
「今回だけは注目されるはず!」との事であった。
新曲披露を期待するも、それは次のツアーでのお楽しみと相成った。そのファイナル1日目となる9/29(日)のライブは即日完売である。
当然チケットは確保している。
「恋は盲目」ということで、アンコールは天国に結ぶ恋であった。
EN.天国に結ぶ恋〜地獄風景
最後に犬神サアカス團を交えた過半数が白塗りの三三七拍子が始まる。
圧倒的なアングラ感に妙な昂揚を覚えつつ、感無量の大団円を感じた。
ライブハウスを出て、家路につく。
そして感じるのは、やはり人間椅子のライブは生きる糧である、ということなのである。
おわりに
いかがだったであろうか。
ライブ部分はややあっさりしていたかもしれない。
こうして振り返ってみると、和嶋氏からは若干弱気というか謙遜気味の発言(「今回だけは注目されるはず」)があったのだなぁ、と意外な気持ちになる。
その後の勢いと言ったらとどまるところを知らないわけであり、和嶋氏と人間椅子の作る音楽は確実に多くの人の心を突き動かしている。
再デビューと言われた「オズフェス後」を三人が真に実感するのはまだ少しだけ先だったと言う事なのだろう。
それにしてもライブが観たい。
いやはや、それにしても人間椅子、振り返ってもいいものである。
ということで今後の人間椅子も追い続けたい。