加えて、都内のワンマンライブには2011年からほぼ欠かさず通っている筆者が、アルバムにおけるライブ定番曲も紹介する。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
トリ
2009年に人間椅子のベスト盤が発売された。
「人間椅子傑作選」というシンプルでストレートなタイトルがついている。
ジャケットにも真ん中にどーんとタイトルが書いてあって気持ちが良い。
そして脇に添えられた「二十周年記念ベスト盤」の文字。
ここにゴシック体を用いているのも何やら味わい深い。
このベストアルバムは筆者にとっては思い出の一枚である。
何しろ初めて買い求めた人間椅子のCDである。
そして世は2019年に突入した。
人間椅子も三十周年である。
ということで二十周年記念ベスト盤について記す。
人間椅子を聴くべし「人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤」名曲が再録された名盤
人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤の収録曲
TKCA-73676 / TOKUMA JAPAN COMMUNICATIONS
2009.01.21 Release
[盤の一]
01. 陰獣(新録音)
02. 針の山
03. りんごの泪
04. 天国に結ぶ恋
05. 賽の河原
06. 人面瘡
07. 夜叉ケ池
08. 幸福のねじ
09. 羅生門
10. ダイナマイト
11. 暗い日曜日
12. どだればち
13. 地獄
14. 黒猫
[盤の二]
01. 鉄格子黙示録 (新録音)
02. 猟奇が街にやって来る (新録音)
03. 蟲
04. 幽霊列車
05. 地獄風景
06. 死神の饗宴
07. 相剋の家
08. 道程
09. 洗礼
10. 恐怖!! ふじつぼ人間
11. 品川心中
12. 膿物語
13. どっとはらい
14. 狂ひ咲き (新曲)
定番だらけ インディーズ盤から「真夏の夜の夢」までの選りすぐり
このベスト盤には、インディーズ盤から真夏の夜の夢までのアルバムから選ばれた名曲達が収録されている。
今なおライブでは大定番曲が多数収録されており、今後人間椅子に触れていく方々にとっては実に頼もしいベスト盤と言える。
大容量の2枚組、28曲収録である。
ちなみに人間椅子初の2枚組のアルバムとなっている。
インディーズ盤から「陰獣」、「猟奇が街にやってくる」を再録
メジャー盤初収録となるのは陰獣と猟奇が街にやってくるの二曲である。
陰獣に関してはダウンチューニングで再録されており、よりへヴィでおどろおどろしい味わいに満ちており必聴。
ちなみに二十五周年ベスト盤でも陰獣が収録されているが、そちらはレギュラーチューニングになる。
歌詞も異なるので聴き比べるべし。
猟奇が街にやってくるはインディーズ盤と聴き比べてみると、再録の方がわずかにテンポダウンしてどっしりとした印象。
和嶋氏のいい感じに枯れた声も再認識できるだろう。
鉄格子黙示録のフルヴァージョンも
ファーストアルバムにてオープニングSEのようにインストで収録されていた鉄格子黙示録がフルヴァージョンで再録されているのもうれしいところである。
その戦慄の音楽を是非再録フルヴァージョンで聴いていただきたい限りである。
ライブでもしばしば聴けるため要チェックと言える。
書き下ろし曲も収録 狂ひ咲き
書き下ろし曲狂ひ咲きが最後に収録されている。
輝かしく散るべく生き抜く意志を、散りゆく花(梅かも)になぞらえた曲である。
詞も音使いも和風な趣である。
これまたカッコ良い隠れた名曲となっている。
現状なかなかのレア曲になっており、筆者は2016年4月のライブで一度だけ聴いたことがあるだけである。
【厳選】おすすめ曲5選
どれも好きすぎて辛いのだが、収録曲の中から5曲あえておすすめ曲をピックアップしてみる。
筆者おすすめ曲
- 針の山
- どだればち
- 地獄
- 天国に結ぶ恋
- 夜叉ヶ池
針の山
1stアルバム「人間失格」から収録された針の山がまずおすすめである。
ハードロックバンドBudgieの「BREADFAN」のカバー曲ながら、人間椅子の最重要曲である。
詞は和嶋氏により、日本的地獄世界へと日本語で書き直されている。
延々と繰り返される小気味良いリフは凄まじく、その音から3名の演奏がガッチリと噛み合うのが感じられる。
ライブで聴いた際にこみ上げる興奮といったらない!
ということで必修曲である。
どだればち
5thアルバム「踊る一寸法師」から収録されたどだればちもこれまたおすすめである。
リフが非常にねっとりしており、日本の土着的な趣が滲み出る素晴らしい逸品と言える。
そこに小節の効いた鈴木氏の歌唱が絡みくことでなんとも言えないオリジナリティを発揮するのだ。
至高にして孤高の一曲である。
そして孤高すぎて歌詞はネイティブでないと聴き取れない。
津軽弁一辺倒である。
歌詞カードを見てもよくわからない筆者であった。
地獄
地獄にまつわる曲を数多世に送り出している人間椅子であるが、その中でももっともシンプルなタイトルがついているのがこの地獄である。
6thアルバムにして漫画「無限の住人」のコンセプトアルバムでもある「無限の住人」に収録されている曲である。
間奏における「時計」を表した表現が非常に面白いので是非聴いていただきたい。
淡々と秒針の役割を果たすベースだがハーモニクスを用いた「ポーン」という音にはハッとさせられる。
またギターは地獄に落ちた者の叫びのごときスライドギターを披露してくる。
この表現力は素晴らしく、フレットをはみ出して奏でられる絶叫はライブで是非堪能してほしい和嶋氏の特筆すべき表現の一つと言える。
その後のギターソロの素晴らしさもまたこの曲を名曲たらしめているだろう。
ライブでは感動的とも言える盛り上がりが(筆者の中には)あるおすすめの一曲である。
天国に結ぶ恋
1stアルバム「人間失格」からの名曲天国に結ぶ恋も外せない。
変拍子に継ぐ変拍子は目まぐるしく、和嶋氏が作ったというベースラインもなかなかに凄まじい。
イントロや間奏における調性も不安定な様がこの曲のテーマにもどこかマッチしており実に良い。
またこの曲は是非歌詞もじっくりと味わっていただきたい一曲である。
自ら規制を入れるほどに倒錯した超遠距離恋愛の境地を垣間見るべし。
夜叉ヶ池
2ndアルバム「桜の森の満開の下」からはシングルカット曲夜叉ヶ池もおすすめである。
美しいアルペジオの三拍子のパートから始まるキラーチューンである。
半分くらいでハードロックパートへとなだれ込む。
疾走感があり大変カッコ良いパートである。
サビのシンプルなコーラスもカッコ良し。
MVも人間椅子作品の中ではかなりお金がかかっているそうな。
ちょいエロい感じがミソ。
公式のMVがYouTubeになかったため傑作MV集「おどろ曼荼羅」のリンクを貼っておく次第である。
まとめ
人間椅子二十周年ベスト盤は充実の内容のベスト盤である。
定番曲を押さえており初心者にもオススメと言える。
「これから人間椅子のライブに行く!」という方や、「今度行くフェスに出る人間椅子を予習したい!」と言った方に是非手に取っていただきたいベストアルバムである。
またこの記事で紹介した以外の収録曲に関しても、スタジオアルバムの紹介にて少なからず触れているので、以下を参照していただければ幸いである。
おわりに
ということで人間椅子三十周年の2019年に二十周年記念ベスト盤を紹介させていただいた。
平成とともに歩んだ人間椅子のますますの活躍を願ってやまない。
いやはや、それにしても人間椅子、面白いものである。