加えて、8年ほど都内のワンマンライブにはほぼ欠かさず通っている筆者が、アルバムにおけるライブ定番曲についても紹介する。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
トリ
人間椅子を聴くべし vol.4 「萬燈籠」OZZFEST JAPAN2013後に作られた入魂の一作
萬燈籠
2013.08.07 Release
- 此岸御詠歌
- 黒百合日記
- 地獄変
- 桜爛漫
- ねぷたのもんどりこ
- 新調きゅらきゅきゅ節
- 猫じゃ猫じゃ
- 蜘蛛の糸
- 十三世紀の花嫁
- 月のモナリザ
- 時間からの影
- 人生万歳
- 衛星になった男
人間椅子再デビューとも言われた「Ozzfest Japan 2013」の後に作られた入魂の一作である。これをきっかけとして聴いてくれる人が増えるはず、という想いからヘヴィな曲を意識的に増やしたそうだが、いやはやカッコ良い。
Ozzfest直後と言うことで、ブラックサバス(フロントマンのオジーオズボーンがOzzfestのオーガナイザーである)に影響を受けた不気味な音(短5度)が随所に盛り込まれた不協和音もアルバムを通して多用されている。そのためアルバムの副題をつけるとすれば「デビルストーン」あるいは「デビルスインターバル」とも呼べると和嶋氏もインタビューで語っている(動画を記事最後に貼っておいた)。
全体的にダウンチューニングの曲の格好良さが半端ない。
人間椅子はレギュラーチューニングとダウンチューニング(一音半下げ)の2種類のチューニングを曲ごとに使い分けている。
このヘヴィ路線は以後二作である「無頼豊穣」と「怪談 そして死とエロス」にも引き継がれ、筆者としては大歓喜であった。
また今回は特に和のテイストを感じる曲が多め。
早速曲について触れたい。
曲紹介
ここではライブでの演奏されやすさの目安を付け加えつつ曲について紹介したいと思う。
ライブ定番度の目安
★★★:かなり聴ける!必修。
★★☆:ちょいちょい聴く
★☆☆:レコ発以外で聴いてないかも
☆☆☆:公認のレア曲
此岸御詠歌
彼岸と此岸が交わるような歌詞が乗るオープニング曲。琵琶の曲にインスパイアされて作られたそうである。実は2010年頃にオープニングSE(入場時にかかる曲)として作られ、今もライブでは入場時に使われ続けている曲。筆者などはもはや響き渡る鈴の音で、否応なしに高揚してしまう。
ライブ定番度:★★★
ちなみに筆者は1度だけ実際に演奏されたのを聴いたことがある。オズフェス直後の千葉LOOKでの犬神サァカス團との対バンでのことであった。
黒百合日記
重苦しいリフが堪らない恋の歌である。
アウトロのなんとも不気味なファズがかかったギターがたまらない。どうやら60年代のアンプを使用して見たとのこと。
ライブ定番度:★★☆
地獄変
鈴木氏の唯一無二のソロが楽しめる一曲。ソロといっても笑い声である。あの狂気を感じさせる鈴木氏の笑い声(通称椅子笑い)が一分に渡り響き渡るのである。非常にオススメである! 最近はライブで聴けないのが残念。
ライブ定番度:★☆☆
桜爛漫
キーがやや高めで和嶋氏がギリギリを攻めている感じもまたよし。和をもろに感じさせるフレーズに満ちている。大正琴も使われている。
ライブ定番度:★☆☆
ねぷたのもんどりこ
弘前のねぷたのリズムを取り入れた鈴木氏渾身の名曲。イントロの高まり様がとてつもない。ライブで演奏されるとまさに血がじゃわめく……!
ライブ定番度:★★★
新調きゅらきゅきゅ節
北島三郎氏のデビュー曲「ぶんがちゃ節」にインスパイアされた一曲。男として生きるのなら…! という詞である。ライブもよく演奏される定番となっている。
ライブ定番度:★★★
猫じゃ猫じゃ
レコーディング時にスタジオのダクトに紛れ込んだという子猫との邂逅を切っ掛けとして詞ができたと言う曲。これまた和のテイストも感じられ味わい深い。
ライブ定番度:★☆☆
蜘蛛の糸
ノブ氏が作曲にも関わった地獄の曲。そのリフもカッコ良し。当然ノブ氏ボーカルである。これまたキーがギリギリで地獄感の演出に一役買っている。ライブ時はフロント二人の楽しそうに演奏する姿も見ものである。
ライブ定番度:★★☆
十三世紀の花嫁
和嶋氏が見た夢の中のカーラジオで聴いたという曲が元になっている。緊張感のあるリフと和嶋氏の力強いポエトリーリーディングによって展開される。我が身にとらわれがちな筆者などにはサビもなかなか切に訴えかけてくる。
ライブ定番度:★☆☆
レコ発以外ではまだ聴いていない。はず。
月のモナリザ
月の裏側についてのあるオカルトな説をもとにした詞を和嶋氏が付け、何とも不穏で良い。ギターソロもどこか宇宙的でそのバックのシンプルで重いビートもズシリとくる。
ライブ定番度:☆☆☆
先日のファンクラブの集いにおいて公式に「レア曲」とされてしまったため定番度は★なしとなる。
時間からの影
ラヴクラフトの作品をモチーフにした暗黒なヘヴィ曲。入りの部分の、ギターによる異次元との交信のようなノイズがゾクゾクする。ボーカルにもうっすらとエフェクターがかかっており非現実感が増す。
ライブ定番度:★★☆
人生万歳
軽快にして荒々しいリフが心地よい痛快なハードロック。中間部もなかなか人間椅子としては珍しい展開のようで面白い。詞も力強い。ライブでは皆で「万歳」したいものである。
ライブ定番度:★☆☆
ただしあまり聴けない。
衛星になった男
ラストを飾るこれまた宇宙の曲と言える。宇宙を感じながら漂うようなイントロで始まる。ある種の英雄的行為と呼べる宇宙飛行に思いを馳せた詞とその宇宙飛行士の決意を感じさせるような勇壮なフレーズにグッと来る。
エンディングのギターによるアルペジオとベースのメロディが悲壮で美しい。
ライブ定番度:★☆☆
筆者てきにはかなり好きなのだがライブでは滅多に聴けない。
まとめ
Ozzfest直後と言うことでこれでもかと言う力の入れようであり、やはり快進撃の始まりを飾る一作と言うことで筆者は思い入れも強い。ねぷたのもんどりこやきゅらきゅきゅ節といったライブ定番曲も多いため、これから人間椅子を聴く人にもオススメと言える。
そう言うことである。
ちなみに着ている青いジャケットはノブ氏からの借り物である。
いやはや、それにしても萬燈籠、面白いものである。