加えて、都内のワンマンライブには2011年からほぼ欠かさず通っている筆者が、アルバムにおけるライブ定番曲も紹介する。
人間椅子の恐ろしくカッコ良い音楽に触れるきっかけになればと願ってやまない。
トリ
人間椅子を聴くべし vol.8 「未来浪漫派」再デビューの原動力ともなった記念碑的15th
未来浪漫派
2009.11.04 Release
- 太陽の没落
- 輝ける意志
- 浪漫派宣言
- 至福のロックンロール
- 愛の法則
- 赤と黒
- 冥土喫茶
- 塔の中の男
- 月下に捧ぐ舞踏曲
- ヤマさん
- 秋の夜長のミステリー
- ばっちりいきたい子守唄
- 深淵
深淵
冥土喫茶
アルバムの特徴 未来浪漫派
なかなかライブで聴けない曲が多いアルバムだが、あのOZZFEST JAPAN2013で演奏された曲が3曲(赤と黒、冥土喫茶、深淵)も入っているということで渾身のアルバムである。
圧倒的な深みを見せる深淵、鈴木氏のパフォーマンスが光る冥土喫茶などのライブ定番が収録されている。
再デビューの原動力ともなった記念碑的一作である!
未来浪漫派の収録曲紹介
ライブ定番度の目安
★★★:かなり聴ける!必修曲。
★★☆:ちょいちょい聴く!
★☆☆:レア気味。
☆☆☆:公認のレア曲
※筆者の感覚的な尺度なのでご了承いただきたい!
01.太陽の没落
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
未来浪漫派一曲目は非常に渋いハードロック太陽の没落である。
緊張感ある展開の仕方がカッコ良い。
筆者はライブでまだ聴いたことないかも、な一曲。
ツァラトゥストラの歌である。
02. 輝ける意志
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
鈴木氏がしばしば作曲する強い意志を感じさせるタイプの曲である。和嶋氏の詞によってポジティブな響きが大いに増しているのも面白い。
ライブではなかなか聴けない
03. 浪漫派宣言
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
硬質なベースが効いたリフである。
ソロへ入るときに自ら「OK、カモン、ギター!」と言うのが実に味があり筆者は好きなのである。
ちなみに以前和嶋氏は浪漫派宣言という名前でWeb Rock Magazine BEEASTに連載を持っていた(ファン必見のコラムである)。このアルバムを聴く上では特に重要なコラムなので、是非読むべきだろう。
04. 至福のロックンロール
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏、和嶋氏
タイトルの通り陽気なロックンロールな一曲。
浪漫派宣言につづき木魚的な打楽器の音が気になる。
サビは三人でコーラスである。三者ともにしっかり聞き分けられる声色なのがよくをかる。楽しげで良い。
05. 愛の法則
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
軽快なロックンロール。珍しくストレート気味に愛や恋の素晴らしさを(失恋サイドからではあるが)歌っている曲である。
06. 赤と黒
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:ノブ氏
我らがアニキボーカルの曲。かなりカッコ良い。ジャパメタ感のあるリフに伸びやかなアニキの声が堪らなく良い。
これまた愛がテーマとなっている。
07. 冥土喫茶
ライブ定番度:★★★
ボーカル:鈴木氏
作詞作曲共に鈴木氏の名誉地獄シリーズとも呼べる、鈴木氏渾身の一曲ではないだろうか。ライブにおいても鈴木氏がハンドマイクを握るという特別なパフォーマンスを見せることもある。
細かく刻むリフの激しい曲である。
歌の冒頭の高めのキーでのこぶしのきかせかたにグッとくるものがある。鈴木氏のボーカルも存分に楽しめるハードな一曲。
08. 塔の中の男
ライブ定番度:★★☆
ボーカル:和嶋氏
”向こう側”へ行ってしまった狂える詩人ことヘルダーリンの歌である。筆者はこの曲が結構好きである。
展開後の安らかなる趣きもまた良し。
2018年のファンクラブの集いでもアンコールで演奏されているが、しばしばワンマンツアーにて聴いたことがある曲である。
09. 月下に捧ぐ舞踏曲
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
妖しい響きに惹き込まれる鈴木氏作曲の一曲。タムが呪術的に響くソロの重苦しさも白眉。
ラストに展開するのもカッコ良い。ライブではなかなか聴けない一曲である。
10. ヤマさん
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:和嶋氏
ヤマさんとはノブ氏が現場で働いていた頃の先輩なのだという。ヤマさんの話を聴くうちに和嶋氏の中に形成されたヤマさん像が曲となったのヤマさんである。ヤマさんの人の良さのような無垢なものが滲み出る暖かい一曲。
ソロに入るまでとソロが非常にカッコ良い。
11. 秋の夜長のミステリー
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:3名
メンバー3名で作曲した一曲。ボーカルも3名で順にとりコーラスワークも聴きどころである。不思議な趣きだが、これまた恋の歌と言っていいのだろうか。
12. ばっちりいきたい子守唄
ライブ定番度:★☆☆
ボーカル:鈴木氏
鈴木氏による豪快なロックンロールである。聴き心地が非常に良いのである。
13. 深淵
ライブ定番度:★★★
ボーカル:和嶋氏
名曲。筆者のなかで最も好きな人間椅子の曲と言っても過言ではない曲である。
ゆっくりと暗い淵へと降りてゆくかのようなアルペジオと雷鳴のごときリフ、遂には真理に触れたかのような美しい感動的な展開部、そしてやはり更なる深みへと自ら降りて行く決意。このようなストーリーがこの曲では描かれていると思われる。
つまりは創作に命を注ぎ込む和嶋氏の人生そのものを込めた曲と言ってもいいのだろう。
ライブでも要所要所で演奏されるので是非聴いておきたい一曲である。
まとめ 未来浪漫派を聴くべし
未来浪漫派は人間椅子の必聴曲と呼べる深淵収録の名盤である。
OZZFEST2013での演奏曲3曲を擁する、昨今の人間椅子の躍進の足がかり的一枚と言える。
是非聴いていただきたい。
いやはや、それにしても未来浪漫派、面白いものである。