そんな方々へ、つまみ食い的にメタルを愛好する筆者が好きなアルバムを脈絡なく紹介させていただく。
フィーリング重視のゆるい紹介にはなるがメタルにあまり馴染みのない方々にとって、気軽な入り口となれば幸いである。
2019年11月22日、ドイツの世界的メタルバンドRAMMSTEINのフロントマン、ティル・リンデマンのユニットLindemannの2ndアルバムが発売された。
トリ
ということでアルバムの紹介をしていきたい。
Lindemann F&Mは戯曲テーマの大作
Lindemannとは?
Lindemannは二人組のユニットである。
ドイツの世界的メタルバンドRAMMSTEINのフロントマンであるティル・リンデマンと、ペインやヒポクリシーで活動するスウェーデン人ミュージシャン、ピーター・テクレンの2人によるユニットとなっている。
ちなみにリリースに合わせて、ティルは以下のようにコメントしているそうな。
「俺たちにルールはない。ソフトな曲もハードな曲も書ける。すべてはエモーションだ。そして、リンデマンでも俺たちのそれぞれのバンドでもやったことがない、新しい何かをクリエイトしたかった」
参考
ティル・リンデマン(RAMMSTEIN)による“リンデマン”の新作がドイツ他のiTunesで1位獲得billbord JAPAN
確かにRAMMSTEINを想起させるようなハードなリフのメタルチューンも多いが、なかなか枠にとらわれない楽曲がアルバムに散りばめられている。
そしてその楽曲群が、ティルの圧倒的な歌唱のその魅力を多角的に見せつけてくれるのである。
F&Mは全ドイツ語詞でのリリース
前作にてまさかの全英語詞により、パラレルワールドなRAMMSTEINを感じさせる構成で臨んだLindemannだったが、本作ではRAMMSTEIN同様、全ドイツ語詞での発表となっている。
ちなみにこのF&Mは、ティルとハンブルグにあるタリア劇場とのコラボレーション作品だとのこと。
グリム兄弟の童話『ヘンゼル&グレーテル』を現代風に解釈した戯曲からインスパイアされているという。
恐怖・貧困・裕福・カニバリズム・死などがテーマになっている今作には、同戯曲からの5曲と新たに制作された6曲が収録された構成になっている(筆者の検索能力ではどの曲が戯曲のものかイマイチ判然としていないのであった)。
ちなみにその戯曲のトレイラーも見受けられる。
Lindemann F&Mの収録曲
- シュテー アオフ / Steh auf
- イヒ ヴァイス エス ニヒト / Ich weiß es nicht
- アレスフレサー / Allesfresser
- ブルート / Blut
- クネーベル / Knebel
- フラオ ウント マン / Frau & Mann
- アハ ゾー ゲルン / Ach so gern
- シュラーフ アイン / Schlaf ein
- グミ / Gummi
- プラッツ アインス / Platz Eins
- ヴェーア ヴァイス ダス ショーン / Wer weiß das schon
- マテマティーク / Mathematik (スペシャル・エディション・ボーナス・トラック)
- アハ ゾー ゲルン(ピアノ・ヴァージョン) / Ach so gern (Pain Version)(スペシャル・エディション・ボーナス・トラック)
以下、邦題とあわせて曲のなかみを簡単に紹介していきたい。
シュテー アオフ / Steh auf 起きろよ
先行してMVが公開されていたリード曲。非常にアグレッシブな曲調でRAMMSTEINファンも惹きつけられるのではなかろうか。
MVも毎度のことながらハイクオリティでビビる。
イヒ ヴァイス エス ニヒト / Ich weiß es nicht 分からない
邦題の通り、なにもわからない、けど何かを探して走り続ける、それがなにかもわからんけど、という五里霧中な焦燥感溢れる歌。
こちらのMVはなにやらGenerative Adversarial Networks (GANs)なるAIにて生成された、どこか不安定になる不気味さを持った仕上がりである。
アレスフレサー / Allesfresser 雑食
何でも食うよ、餌くれよ、でも若いのだけ!という歌。
ブルート / Blut 血
血の歌。
静かな立ち上がりを見せる。サビもタイトルを絞り出すように一言発し、そして印象的なフレーズが後を追う。
クネーベル / Knebel さるぐつわ
アコースティックギターオンリーで半分以上奏でられる猿轡の歌。
最後に爆発するかのようにヘヴィな展開になるのも面白い。
フラオ ウント マン / Frau & Mann 女と男
表題曲ということになるだろう。
あらゆる対になるものを歌った歌になっている。
そしてそれらはひかれ合うのである。
アハ ゾー ゲルン / Ach so gern ああ、こんなに好きだった
リビドーの海の底だぜ!という歌。
2020/1/13追記
1/12より、公式からワンショットなMVもリリースされた。
シュラーフ アイン / Schlaf ein おやすみ
おやすみソング。
美しくも不穏な曲である。眠りおじさんが子どもたちの眠りを誘引する。
グミ / Gummi ゴム
ラバーフェティシズム讃歌。
プラッツ アインス / Platz Eins ナンバーワン
俺がナンバーワン!という歌。
ヴェーア ヴァイス ダス ショーン / Wer weiß das schon そんなの知るかよ
邦題はやけっぱちな感じだが、なんとも美しい曲である。
そして詞は後ろ暗い趣に満ちている。
ティルの優しげな非常に歌声がすばらしい。
マテマティーク / Mathematik 数学
数学とかマジファッ○、な歌。
おわりに
ということでLindemann待望の2ndアルバム「F&M」の紹介であった。
相変わらずの不謹慎な世界観、そして激しい曲の数々はやはり非常に危険な魅力に満ちていた。
Rammsteinとは少し異なる世界線でのティルの歌声を是非堪能していただきたいばかりである。
いやはや、それにしてもLindemann、良すぎる。