さて、2019/08/28の夕刻である。
この日、筆者は有給を取得して池袋blackholeなるライブハウスへと赴いていた。
トリ
孤高のアコースティックユニット白髪鬼のライブである。
メンバーは2名。
まずは筋少・特撮・オケミス・電車などでお馴染み、大槻ケンヂ氏。
そして筆者が愛してやまないハードロックバンド人間椅子のギタリスト、和嶋慎治氏である。
40代にしてギターを始めたオーケンだが、かねてからの親交のある和嶋氏とユニットを結成したのである。
ということで白髪鬼のライブレポートをお届けする!
総じてトークショーだったんだっけ!?と言ったことすら感じる面白すぎるライブであった。
夏の白髪鬼LIVE!!オーケンとワジーのアコースティック共演!ノブも駆けつけた! BlackHole 10th Anniversary「大和」
いきなり思い出話だが、和嶋氏のアコースティックライブといえば2012年の大雪のライブを思い出す。
筆者も是非行くべしと当日電車に乗ったものの、あまりの大雪に結局電車が動かずに、物理的に行けなかった衝撃のライブである。
ということで生アコースティック和嶋氏を味わうのは初めてということになる。
有給をとって池袋BlackHoleへ
さて、この日は座席も用意されていたのだが、入場してみれば100席もなさそうな座席は当然埋まっており、その後ろでの立ち見である。
しかし見晴らし良さげなポジションを確保することに成功したので良しとした。
ステージを見遣れば、2つの譜面台とパーカッションのセットが置いてある。
そうこの日は人間椅子のドラマー、ナカジマ氏も駆けつけてのライブなのであった。
定刻の19時を少しすぎて、最初にステージに現れたのは和嶋氏であった。
和嶋氏のアコースティックステージを堪能する
さて、早々に披露されたのは印象的なイントロからハードなリフに雪崩れ込む命売りますであった。
ハードなリフとは言えアコースティックである。
なんとも豊潤な素晴らしいギターの音色を終始楽しめた。
このように、アコースティックギターの演奏なために当然ながらいつもとはだいぶ異なる雰囲気を纏った曲が立て続けに披露されるわけである。
さて、一曲目が終わると早速MCである。
オーケン氏とのユニットを組んでしばらく経ったわけだが、オーケン氏が上手くなっていることを実感しているという。
それこそ最初は「どこにあわせりゃいいの!?」といった状況だったそうな。
しかしそんなオーケン氏の曲に、和嶋氏が「はっ」とするような曲を奏でており、氏もとある曲でその影響を受けていたことを後々気づいたそうな。
そうしてできた曲リジイアが披露された。
もともとアコースティックギターでライブにて演奏される曲だが、不思議なコード進行がかなり独特な明るさを持った浮遊感を生み出している素晴らしい曲である。
さて、アコースティックゆえの小回りからか、この日は細かくMCが入る。
冬生まれの和嶋氏だが、好きな季節は夏とのことである。
そう、たとえ外で寝ても死なないのが夏という季節である。
和嶋氏の実体験に基づいており、さらに浦安鉄筋家族でも言及されていたとのことで、これはもう確実である。
と言うことで次は夏の歌、かなりのレア曲エデンの少女である。
題材はある日和嶋氏が図書館で見かけたと言う統合失調症の疾患を持っているかのような少女だと言う。
ある種の後ろ向きな題材ではあるものの、曲調はとても明るく、それが和嶋氏の感じたところなのだろう。
ライブでも滅多に聞くことはない曲なためとても嬉しいところであった。
続いての話題はバイクのガソリンタンクである。
中華製のタンクで二度失敗した話を披露しつつ、続く曲は新時代の名盤・新青年からである。
鈴木氏に「何かの曲に似ている」と言われ、二人して「仮面ライダーの曲だ!」と気づき、しかし実際はキカイダーの曲(ギルの笛の音)だったのだそうだ。
そんな経緯を話しつつ、次なる曲はその曲ではなく、まさにキカイダーの曲、ゴーゴー・キカイダーであった。
これがまた非常にかっこいい。
途中歌詞を間違えたのをいいことに、6番くらいまで歌ってしまった和嶋氏であった。
ちなみに和嶋氏はAmazonのPrimeビデオにてキカイダーを全て見たと言う。
そんなわけで、「新青年」は実はキカイダーの影響を結構受けていると言う驚きのエピソードも飛び出たりもしたわけである。
そして満を辞して、イントロが「笛の音」と1小節と2拍被っていると言う屋根裏の散歩者を披露してくれた。
イントロのあの笛の音チックなパートにおいてはアコースティックながらファズ(?)を思いっきりかけたものすごい魅力的な刺々しい音での演奏であった。
これがまたアコースティックでも非常に良い。
アニキ登場!
さてここで助っ人が登場、そう我らがアニキ、ナカジマノブ氏である。
ノブ氏の声は明らかに数オクターブ上の倍音が聴こえる、とは和嶋氏の談である。
実際筆者も気になっていたのだが、最初に新青年のボーナストラック地獄のご馳走のコーラスに女性がいるのかな?と思ったほどである(確かに、ノブ氏によるとそのレコーディングではかなり甲高い声が出ており、しかし鈴木氏の意向でそれを採用した、といったエピソードをどこかで読んだ)。
そしてノブ氏からも驚きの情報が開示されたのだが、かつて声楽の先生に真剣に声を分析させて欲しいと頼まれたことがあるそうである。
そんな天性の声を持ったノブ氏が、今回鈴木氏に変わってコーラスを務めるのは新青年における特異なアコースティックナンバー月のアペニン山であった。
その美しさは二人構成でも健在。ノブ氏のコーラスにも意識して耳を傾けてみるが、確かに高い音が聴こえるのである。
さて、和嶋氏パートは最後とのことで、ラストは悪魔と接吻。
ハードでかっこいい曲をアコースティックギターで演奏する和嶋氏。
アコギながらソロも弾き倒しており悶絶ものである。
その演奏には戦慄せざるを得ず、筆者はかなり熱い想いを抱いたのであった。
オーケン登場! いきなりカラオケ!
さて、バトンタッチして現れたのはオーケン氏である。
曰く「キカイダーかっこよかった」とのことであった。
上手くなってきたとは言え、あの和嶋慎治の後にギターを弾くというのはどうしたってうろたえるものである。
オーケン氏の考えた方策は次の通り。
- 猛練習する
- 超絶ギタリストを招聘する
といったところで「もう一個選択肢があった」、とオーケン氏が選んだのは
3.カラオケ
である。
確かに先日の特撮ライブにおいても「新曲が好きで、家でもカラオケでも歌いたい」といったことを話していたオーケン氏である。
1曲目はその新曲「夏のデビル」である。
カラオケで、である。
ということで初っ端は思った以上にオーケンが普通にカラオケしているのをみんなで見ていたのであった。
さて、ここでオーケン氏が思いついたビジネスは、カラオケ専門のライブハウス構想である。
面倒な音響なども省けて歌いたいプロが歌えていいに違いない!と息巻いていた。
ということで続く曲もカラオケである。
「まだ和嶋氏のすごい演奏が耳に残っているに違いない」とのオーケン氏の憶測のもとである。
ということで続いてはオケミスからポエムであった。
オーケン、ギターを手に取る
ここで大槻ケンヂミステリ文庫改め「オケミス」のツアー告知が入った。
改名したそうである。結局みんなオケミスと呼んでいたため、とのこと。
このライブ会場でもそのツアーのチケットを売っており、そこにはなんとオーケン氏のチェキがつくそうな。
そうらしい。
そうしてギターを手に取ったオーケン氏が披露したのはののの唄であった。
和嶋氏と比べてしまうと確かに力量差があらわにはなるのだが、それでもこうしてステージで演奏できるのだからすごいことである。
しかもこの日ちょっとレアな曲がたくさん聴けたのである。
続いては枕投げ営業が披露される。
さてここでこの日突如発表された筋肉少女帯の新譜について話があった。
ケムに巻きたいというところで、タイトルは「LOVE」とのこと。
さて続くはおやすみ-ENDである。
これは「かくれんぼか鬼ごっこよ」という特撮チームが主題歌を手がけたアニメ「さよなら絶望先生」に関する楽曲が収められた特撮x声優な音源に収録された曲であり、タイトルの通り非常におやすみ感のある優しげな名曲である。
そのまま次の曲へいき、筆者が非常に好きな電車のお別れの背景が披露された。
カラッとした曲調にも感じるが、やはりしんみりとせざるを得ないしっとりとした名曲である。
柔らかなアルペジオで1番を演奏し、次いでコードを力強く奏でて続きを歌うオーケン。
好きな曲だっただけにかなり聴き入ってしまった。
次いでオーケンソロアルバムに収録されていたJAGATARAのカバータンゴを披露する。
このあとノブ氏が合流し、キラーチューン踊るダメ人間、そしてソロアルバムの感動的名曲あのさぁを演奏したのであった。
ちなみにこの日のオーケンのMCの主な話題はオーケンが夏バテが酷くて酷くてというものであった。
食欲もわかない、などとあのアニキ・ノブ氏に相談するものだから食欲の権化ノブ氏も驚くばかりである。
ついノブ氏の口から「肉欲」といううっかりワードも飛び出し会場も大盛り上がり(?)である。
「ビスコ箱」なるお菓子たっぷりな箱が毎回オーケン氏の楽屋では見受けられ、それが夏バテの一因ではないのか?ということについても、ノブ氏およびこの後出てくる和嶋氏に言及されていたのであった。
3名集結!
ということで和嶋氏も再度登場。
いよいよ3名での演奏である。と思ったもののMCが長い!
アンチエイジングのために顔に糸を入れて釣る話から、筋肉少女帯人間椅子の新たな活動に話がおよび、しかし全員でアンチエイジングするにしても内田氏という山が動かないと和嶋氏は賛同できないと述べ、それは無理だとはオーケン氏の談である。
しまいには「内田氏を誘拐して改造する」という話になり、それが妙にオーケン氏のツボに入り、この後複数回にわたり、しばし笑いが込み上げていたのであった。
そして気づけば筆者の腰が相当やばい。
そう、MCにかなりの時間が割かれており立ちっぱなしだったのだ。
体感的には半分くらいはトークショーである。
そんなこんなで三人での演奏はまず香菜、頭をよくしてあげようである。
あの印象的なフレーズは和嶋氏がギターで奏で、コードを弾くオーケン氏が歌うという体制である。
やはり3名ともなると演奏が一気にどっしりとする。
失礼な話ではあるが、かなり安心感が増すのである。
さて、ここでまたたっぷりとMCが入る。
新譜「LOVE」の話から、愛ってなんなんだというオーケン氏と和嶋氏に対して、「愛してる」というのが得意なノブ氏、という構図である。
なぜか次の筋肉少女帯人間椅子の曲のカップリングに「愛の漁港」という曲を入れる、という謎の話題になり、即興演奏が開始されたのであった。
エンやっとっと、というノブ氏のコーラスにのせ、小節効かせすぎなオーケン氏の歌が面白すぎ。
これは筋肉少女帯人間椅子の次なる活動に期待が膨らみまくるのであった。
そして続くは日本印度化計画である。
冒頭オーケンが煽りを噛んだのをきっかけとして、和嶋氏のマンションの下の階がインド人夫婦であり、印度化計画は日本人にはかなり厳しい、という実感の(というか軽く怒りの)こもった発言も飛び出したほどである。
そしてなかなか曲が始まらない!
しかしながら演奏が始まればアコギだということも御構い無しに弾き倒す和嶋氏である。
あの印度感あるフレーズはもちろんソロも自在に弾きまくっていたのだ。
やはり好きな曲だということもあり心踊りまくりであった。
さて最後の最後にこのライブハウス池袋BlackHole10周年を祝う口上とともに、そのイベント名「大和」について和嶋氏がどういった意味か訪ねるワンシーンも。
この10周年イベントは8月の多くを割いて多くのバンドによって実施されており、漢字2文字でタイトルをつけるのが通例とのこと。ということでこの大和、実は大槻・和嶋合わせて「大和」とオーケン氏より由来が披露されたのであった。
そんな話もありつつ、いよいよラストである。
最後の最後は、「愛」について歌っているばちかぶりのカバー「オンリー・ユー」である。
語り部分では「新宿3丁目のあの狭いディスコティック」を「池袋のBlackHole」と置き換える粋な計らいもありつつ、和嶋氏のボーカルも交えての大団円であった。
白髪鬼ライブ!! セットリスト
筆者のメモに基づくリストとなる。誤り等あればコメントなどでご指摘いただければ幸いである!
和嶋氏
- 命売ります
- リジイア
- 夏が好き
- エデンの少女
- ゴーゴーキカイダー
- 屋根裏の散歩者
- 月のアペニン山
- 悪魔と接吻
オーケン氏
- 夏のデビル(カラオケ)
- ポエム(カラオケ)
- ののの唄
- 枕投げ営業
- おやすみ-END
- お別れの背景
- タンゴ
- 踊るダメ人間
- あのさぁ
白髪鬼
- 香菜、頭を良くしてあげよう
- 愛の漁港(即興で生まれた曲)
- 日本印度化計画
- オンリー・ユー
おわりに
なんかもはやそっちの印象の方が強いのだ。
というか立ちっぱなしだったからかなり腰にきた。
座席ありでお酒飲みながら見れてた人が本当に羨ましい!
しかし総じて最高に楽しいライブだったことは確実である。
また是非行きたい!
白髪鬼はもちろん、なにやら筋肉少女帯人間椅子にも期待が高まるのであった。
いやはや、それにしても白髪鬼、これからも追い続けたい。