そんな方々へ、つまみ食い的にメタルを愛好する筆者が好きなアルバムを脈絡なく紹介させていただく。メタルにあまり馴染みのない方々にとって、気軽な入り口となれば幸いである。
筆者
トリ
ということで今回は五人一首「内視鏡世界」について記す!
メタルつまみ食い 五人一首「内視鏡世界」
内視鏡世界
Release 2005/07/22
- 常闇回廊
- ナレノハテ
- 斜眼の塔
- 人媒花
- 無礙の人
- 赫い記憶
五人一首の音楽
五人一首は日本のメタルバンドである。
その音楽性はプログレッシブメタルとデスメタルの要素を併せ持つ。
複雑怪奇なプログレ要素に加えて難解にして美しい日本語詞、攻撃的に打ち付けるピアノ、轟音の楽器隊、女性ボーカル松岡氏の暴力的なまでの咆哮、これらの混沌とした要素が渾然一体となり得体の知れない塊となって圧倒的な迫力で迫ってくるのである。
実に不思議なことに、あまりに得体が知れないものだから怖いもの見たさにも似た、目ならぬ耳を背け難い魅力が溢れている。ともすれば癖にる。そこに共存するある種の醜さとその裏の未曾有の美しさが両サイドからぎゅうぎゅうと引っ張ってくるのである。
ボーカルは表現力に富み、デスボイスから猟奇的な絶叫、美しいファルセットと目紛しい。デスボイス一辺倒と言うこともないため、デスボイスを普段あまり聴かないような方にも舌下療法的にオススメと言える。
内視鏡世界の楽曲
本アルバムは残念ながら6曲しか収録されていない。
しかしこの密度はなんなんだ一体!? といったところで聴きごたえありすぎである。
一つには実際に長いのである。8分以上の曲が4つもあるからであろう。6.赫い記憶など19:35である。
と言うことで各曲について触れる。
常闇回廊
アルバム「内視鏡世界」のオープニングを担うインストナンバーである。
重く複雑な音が捻れ絡まってゆくような感覚がなんとも不思議である。どことなく宇宙的と言うか異空間じみたキーボードが良い。圧倒的非日常への誘いと言える。
ナレノハテ
隙間なく畳み掛けてくる音がたまらない。楽器の掛け合いが全くとめどない。
そしてこの曲でもって松岡氏のボーカルの凄みを体感することになるだろう。実に多彩な歌唱を魅せてくれる。
斜眼の塔
序盤の怨念めいた語り調のボーカルが不安を煽る。さらには不安が積もるような変拍子を多用しており、筆者などはもはや「むしろ心地よいカモ!」といった境地である。
7分弱である。
人媒花
美しい旋律で幕を開ける一曲。途中入る数え歌のようなパートから怒濤の展開へ突入し混沌へと変貌していく様は圧巻。
無礙の人
夏の夜の田んぼの只中にいるような蛙や虫の鳴き声で始まる9分越えの怪曲。変幻自在のボーカル、力強く切れのあるザクザクと心地よいリフ、正確無比な怒濤のギターソロと心から演奏を楽しめる名曲である。
赫い記憶
驚異の大長編。しかし全く飽きさせないのである。むしろ冒頭の狂気すら感じさせるボーカルから一気に引き込まれること必至。身を委ねるべし。
ラストの超絶展開まで辿り着いた際の感動といったら!
まとめ
日本のプログレッシブデスメタルバンド「五人一首」は唯一無二の存在感で持って聴くものの思考が停止するかのようなとめどない音で我々を圧倒するばかりである。
ほんの少し勇気を持ってまずは聴くべし。さすれば一気に虜である。
日本的な怪奇発想に満ちた混沌の世界の先っちょで君も恍惚!
余談
余談だが「内視鏡世界」はAmazon Music Unlimitedにて聴くことが出来る。プライム会員なら無料で聴けるためプライム会員は是非!
筆者はここでメタルを漁っている際に五人一首にたまたま出会ったのであった。全く思わぬ出会いであった。
そして結局CDが欲しくなって後に改めて買ってしまった次第である。
五人一首の近年の活動としては、年一回の年末ライブに留まっているようである。新譜とか出ないだろうか。
そんなことを思いつつ一度聴きに行きたいと思う筆者であった。