そんな方々へ、つまみ食い的にメタルを愛好する筆者が好きなアルバムを脈絡なく紹介させていただく。
メタルにあまり馴染みのない方々にとって、気軽な入り口となれば幸いである。
叙情と激情、そして鮮烈な日本語詞が照らし出す未踏の地平! Thinking Man’s Metal の胎動!
トリ
lantanaquamaraの1st EP「ランタナカマラ」について記す!
メタルつまみ食い lantanaquamara「ランタナカマラ」
ランタナカマラ
Release 2016/11/16
- 図書館の葬列
- 鳳凰木
- 夏至を待つ夢はトンネルで
- アルビノの流星雨
- 華燭に抱かれた天文台
lantanaquamaraについて
lantanaquamaraは、Mata-Low(Bass / Ambience)、SO))) (Guitar / Sound Programming)、Toshiya Kawamitsu(Voice)の3名からなるポストメタルバンドである。
ポストメタルなるジャンルには明るくない筆者である。少し聴き知ったところ、静と動が織り成す壮大なカタルシスを持つ音楽なのだという印象を受ける。
lantanaquamaraはそのような音の中に、孤高の世界観を持ったボーカルKawamitsu氏による日本語詞を乗せる。そこに無二の世界が生まれていると感じずにはいられない。
まだ5曲のみの発表ながらすでにlantanaquamara像は確固としつつある。これからの活動でその世界観をより確かなものとして築きあげることを期待せざるを得ない。
SO)))氏はかつて「ゾークン」名義でニコニコ動画にて一世を風靡した「超速デスボイス習得塾」シリーズを投稿した本人である。筆者はそれを一つのきっかけとしてlantanaquamaraを知るに至った。
ランタナカマラ 収録曲紹介
1. 図書館の葬列(A Diligent Man’s Funeral)
1分ほどのイントロダクション的な一曲。かっちりとしたリフに朗読される強さの立ち込める詞とlantanaquamaraの世界観が示されている。
Mata-Low氏によるものだろうか、効果的に鳴り響くノイズめいたシンセが印象的。
2. 鳳凰木(Delonix regia)
EPにおける筆者のイチオシ曲。lantanaquamaraを象徴する楽曲であろう。
超然とした雰囲気を湛えながら静かに徐々に高まってゆく感覚は不思議な心地よさに溢れる。それを感じながら迎える7:30あたりの爆発するような展開には心震える。
3. 夏至を待つ夢はトンネルで(Midsummer Daydreaming)
一分ほどの静かな曲である。繋ぎとしての役割と思われるがここからの次曲アルビノの流星雨はコントラストが眩しい。
4. アルビノの流星雨(Meteor Shower)
スピード感とザクザク刻むギター、そしてキメが非常に心地よいメタルチューン。ポストメタルとは距離を感じるが、随所に挟まれる朗読調のボーカルは健在。そして音使いに他の曲との関連が見られる。
5. 華燭に抱かれた天文台(A Florid Observatory)
どこか物悲しいオルゴールで始まる。抑制されたような序盤では滑るような不思議なノイズが漂う。両サイドのギターで異なる音がなりながら淡々と確実に終着へ向かう中に滲み出る哀愁がなんとも感動的である。
まとめ
lantanaquamaraの1stEP ランタナカマラはバンドの確固たる意志と音楽性を感じずにはいられない一枚である。
各曲がフレーズや音使いで少しづつ関連性があり、非常にまとまりがある。
是非じっくり聴いていただきたい次第である。ポストメタルを体感すべし。
いやはや、それにしてもlantanaquamara、面白いものである。
長い余談 lantanaquamaraの自主企画イベント plant Vol.1に行ってきた時の話
去る2018/1/28、lantanaquamaraの自主企画イベント「plant Vol.1」が行われた。
これは是非観ておきたい! と感じた筆者は神楽坂のライブハウスへ足を運んだ。結果ライブはもちろん、ライブそのものに留まらないところで色々衝撃を受けた。
Vol.2が行われる暁には是非また行ってみたい。
lantanaquamaraのライブを観て特に惹かれたのはKawamitsu氏のパフォーマンスであろう。何かの骨のようなマスクを被って怪しく立ち居振舞う様はかなり良い!
【Thanks】
plant.Vol 1、来場頂いた皆様本当にありがとう御座いました…!暖かい感想をいくつも頂き、本企画を開催して本当に良かったと思っております。私たちがもう少し成長したタイミングで、必ずplant Vol.2を開催しますので、その際には是非またお越し下さい!ありがとう御座いました!! pic.twitter.com/EuWrLhi3DE— lantanaquamara@正規Dr募集中 (@lantanaquamara) January 29, 2018
ポストメタル(?)バンドが3組集結
- lantanaquqmara
- Heliostrope
- 明日の叙景
と言う3組が集結。
各組ともに若いバンドながら確かな技術をもって演奏していたのにまず感動した。そしてポスト〇〇なるジャンルはどうやらどうしようもなくグッとくる瞬間をもっているジャンルのようである。初めて聴いても非常に楽しめるライブであった。
以下、イベント特設サイトより紹介文を引用する。
Heliostrope
2013年4月、名古屋にて結成されたポストハードコアバンド。2013年9月より活動を開始し、全国各地で精力的なライブ活動を展開。
ツインギターとキーボードが織り成す壮大なサウンドスケープ、リリカルな日本語詞を特徴とし、2015年1月に初の正式音源「Configuration E.P」をリリースする。
独特の音楽性から界隈での引き合いが強く、2016年12月にはUSポストメタルの筆頭格Rosetta(Tokyo Jupiter Records)の来日名古屋公演を企画。
近年ではよりポストロックに接近した音響表現を追求しており、冷気を帯びたアトモスフェリックな音像を創り上げている。
明日の叙景
2014年結成。ポストブラックメタルを基盤にハードコアやマスロック等の要素を取り入れ、美醜・明暗のコントラストを創り出すスタイルが特徴。結成より積極的なライブ活動を展開し、2015年7月、豪州ハードコアバンドJack the Stripperの来日公演に出演。
2016年2月に1st EP「過誤の鳥」をリリースし、仏グラインドコアバンドWarfuckの来日公演に出演。また同年8月には台湾にて初の海外公演を行う。2017年8月現在、1stフルアルバムを制作中。
ギターを担当する等力は「Kei Toriki」名義の活動でも知られた存在。クラブシーンでは国内最大級ハードコアテクノパーティ「THE DAY OF HARDCORE」や「超合法東京」への出演、作曲家としてはNECRONOMIDOLを始めとするアイドルやシンガーへの楽曲提供と、バンドの枠を飛び越えた活動で注目を集めている。
参加者への細やかな気遣い。確実に仕事ができる男、SO)))氏
イベント成功に向けた細やかな気遣いや強い理念の持ち様を知り、同世代の方々が如何に信念を持った活動をしているのかを目の当たりにしてひどく衝撃を受けた次第である。
イベント前後のチケット購入者へのメールでの挨拶やキャンセル待ちの周知、特設サイト内の会場の案内まで本当に細やかな気遣いがある。SO)))氏は確実に仕事ができる! と余計な感想も抱いたものである。
会社員をしながら活動を意志をもって貫くSO)))氏は、ボンクラな社畜の筆者からしたら尊敬の念を抱かざるを得ないわけである。
ライブ、そしてライブハウスの在り方もより良いものへ
ライブハウスでのライブそのものの在り方を自ら変えていこうと言う意志と行動力が眩しすぎる。
チケットの割引パターンが多い。またレジットカードも使用可能であった。筆者はたまたまイベントを知ってすぐチケットを確保できたのでこれは助かった。
また自主レーベルを通して、ライブハウス、ひいては日本で特に軽視されがちなスモークハラスメントへの問題提起を行なっている。これには筆者も陰ながら応援したい限りである。
演出もじわじわ良い
開場直後のライブフロアにはポケモンのBGMが流れていた。世代な筆者は愉快な気持ちで開演を待ったものである。そしてゾークン氏はポケモンの対戦動画もアップロードしていたりする。
ライブ後にはSO)))氏がステージから観客へ何個かのパンを投げていたのも印象的であった。
一番印象的だったのは、SO)))氏が最後に挨拶として語った言葉であった。好きなことへ打ち込む大切さなどは筆者には重くのしかかったものである。
さらに余談
筆者がSO)))氏の活動を知ったきっかけをせっかくなのでここに記す。
「超速デスボイス習得塾」シリーズ
ニコニコ動画にて一世を風靡した動画シリーズである。ゾークン名義で投稿されている。筆者動画の着眼点に驚き、散りばめられたネタに同年代感を感じつつ楽しませて頂いた。
動画から伝わるなんとも真摯な姿勢になにやら感銘を受けたものである。それがバンド活動でもまた滲み出ており、心が荒みがちな筆者は、やはり人はこうあるべきなのだと思わずにはいられない。
「おとなポケモンのすすめ」
一年程前、社畜仲間の後輩に唆されてポケモンを再開した時期がある。
その時期に対戦動画をよく見ていたなかで奇跡的にゾークン氏と(筆者が勝手に)再会したのである。
これが決定的となり、氏のlantanaquamaraの活動を知るに至る。そして興味が湧いてきた筆者はlantanaquamaraの自主企画へと足を運んだのであった。
因みにこの動画ではポケモンに対しても真摯に、そして理知的に取り組んでいる様子が伝わってくる。
余談は以上!
と言うことで改めて、
いやはや、それにしてもlantanaquamara、面白いものである。