今年の6月から急激に映画館に行くのが楽しくなった。
ひとえに『平山夢明のシネマdeシネマ』の影響が大きい
平山先生とギンティさんの話おもしろいからな〜
楽しくなったついでに観に行っては備忘録として感想を残してきた次第である。
12月27日時点で38本の映画を映画館で鑑賞できた。
今回はその中から特に好きな作品を10作紹介してみたい。
こういうの初めてやるけど、なかなか悩ましくも面白いな(数週間候補挙げて考えてたけど日々コロコロ変わってた)※なお筆者が劇場に足を運びだしたのは2024年6月からなのでご了承いただきたい。またリバイバルも含まれている。
2024年に映画館で観た映画ベスト10
そんなわけで筆者が今年劇場で観た映画の中から好きな映画10選は以下の通り。
- グレース
- 極道恐怖大劇場 牛頭
- 憐れみの3章
- 柔らかい殻
- シビル・ウォー アメリカ最後の日
- あんのこと
- 関心領域
- ドリーム・シナリオ
- クルージング
- ノーヴィス
以下改めて簡単に紹介したい。
グレース
上の10作についてはほとんど順位はあってないようなものであるが、1つ目に挙げさせていただいたイリヤ・ポボロツキー監督のロシア映画『グレース』は今年ベストと言える印象的な一本であった。
役名すらない『娘』とその『父親』の不確かな放浪生活を描いたロードムービーである。
映像の持つ空気感が大変すばらしく、ロシアの絶望的な広さと荒涼さにどうしようもない孤独や不安がつきまとい、思春期の『娘』のもつ想いと呼応するようでもある。また実験音楽家zurkas tepla氏による劇伴も白眉で、その広大さに反比例するような閉塞感をじんわりと増幅する不穏さがたまらない。
静かに前に進もうとする『娘』を見送るようなラストのカメラワークがとても良いゾ…!
極道恐怖大劇場 牛頭
映画の奇跡を感じずにはいられない映画である。
DVDでしか観たことがなかった『極道恐怖大劇場 牛頭』を年末に映画館で観ることができた、というだけで2024年がなんかイイ年だった気がしてくる。
ついでにいうと「平山夢明のシネマdeシネマ」と池袋の新文芸坐との第1回目のコラボということで牛頭が選定され、平山先生・ギンティ小林氏・牛頭の脚本を書いた佐藤佐吉氏の御三方による超貴重な面白すぎるトークも併せて堪能できてこんなにすばらしいことはない!と感無量なのであった。
今年一番の思い出深いイベントである…!
憐れみの3章
鮮烈な映画体験をさせてくれた一作である。
危うい「支配」「依存」の関係性を描きだす中編×3本が脳内を容赦なく踏み鳴らしてくる感覚が大変良い。
度肝を抜かれるヨルゴス・ランティモス作品!
柔らかい殻
子どもの不確かな眼を介した世界の美しさと恐ろしさを堪能できるフィリップ・リドリー監督のリバイバル作品である。
少年の選択が悪夢的な事件に作用し、彼の「少年期」が完全に崩壊する様はあまりに壮絶…!
燃え盛るお父さん、不思議な魔女の家、黒塗りのキャデラック、そしてやはり冒頭のカエル大爆発からの顔面返り血絶叫未亡人with青い空…印象的なシーンがたくさんあっていいんだよな〜
シビル・ウォー アメリカ最後の日
分断されたアメリカにて、ジャーナリストチームがワシントンD.C.を目指すロードムービーである。
有り得そうな未来像と容赦ない戦闘描写、そして実際にデカかったらしい銃声などのクソデカい音に戦々恐々としつつ、意外性のある音楽の使い方にハッとさせられる面白さもあり、変な感覚になる。
力を失いつつあるジャーナリズムに光を当てる映画である。
あとやっぱジェシー・プレモンス演じたアイツが恐すぎ
あんのこと
入江悠監督による実話をもとにした作品。
どん底の底でただどうにか生きていたあんが、声を聞いてくれる人の存在によって自分の人生に改めて向き合い前に進もうとする姿の美しさといったらない。そして起きてしまうすれ違いと未曾有のパンデミックによる断絶が、あまりに悲しい結末をもたらしてしまう悔しさに打ちひしがれる。
結末はどうしようもなく悲しいのだが、忘れがたい作品である
関心領域
ジョナサン・グレイザー監督による、アウシュビッツ強制収容所の所長家族の生活が写し出される映画である。
生活の中に紛れ込む断片的な「音」から壮絶な恐怖が演出される。
見応えあり。
観察するような映画なんだけど、急に印象的なシーンが入るところがいくつかあってハッとするんだよな〜
個人的にはひっさしぶりに映画館に行くきっかけとなった思い出深い作品でもある。
ドリーム・シナリオ
幸せな家庭を持つ平凡な大学教授があらゆる人の「夢に現れる」という珍現象で一躍有名になり、ある日から悪夢を作り出している元凶として攻撃を受けまくることになってしまう理不尽な映画である。
ニコラス・ケイジの繊細な演技が大変素晴らしい。
哀愁に満ちたラストにはしんみり…
クルージング
ウィリアム・フリードキン監督の1980年の作品のリバイバルである。
ゲイ・コミュニティに潜入捜査することになった刑事をアル・パチーノが演じている。
未知の世界を覗き込み徐々に絡め取られるような不穏さと、ラストの「で、結局どうなったの…!?」というモヤっとしたムードがあとを引きまくりで大変良い。
かな〜りニオイたつ映画である
ノーヴィス
ローレン・ハダウェイ監督による、女子ボート部で狂気に近い執念で練習に臨む大学生のはなし。
嘔吐あり卒倒あり失禁ありの壮絶スポーツ映画である。
度を過ぎた執念を、音響とカメラのピントで執拗に体感させてくる演出は恐ろしさすらある。
イザベル・ファーマンすごかったな
おまけ 2024年に映画館で観た映画作品一覧
月ごとの鑑賞作品は以下の通り。冒頭に書いた通り6月から映画館へと行くようになったため、下半期の公開作品に偏っている。
2024年6月
- 関心領域
2024年7月
- あんのこと
2024年8月
- ツイスターズ
- デビルクイーン
- モンキーマン
- 福田村事件
2024年9月
- 顔さんの仕事
- 箱男
- Mommy マミー
- 侍タイムスリッパー
- ジガルタンダ・ダブルX
2024年10月
- ベイビーわるきゅーれナイスデイズ
- 犯罪都市 PUNISHMENT
- ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれナイスデイズ
- エストニアの聖なるカンフーマスター
- 悪魔と夜ふかし
- シビル・ウォー アメリカ最後の日
- 破墓 パミョ
- あみこ
- ナミビアの砂漠
- 最後の乗客
2024年11月
- 十一人の賊軍
- 柔らかい殻
- 地獄のSE
- TRAP
- 動物界
- ドリーム・シナリオ
- クルージング
2024年12月
- ロボット・ドリームズ
- 憐れみの3章
- 花嫁はどこへ?
- グレース
- りりかの星
- 極道恐怖大劇場 牛頭
- クラブゼロ
- リトル・ワンダーズ
- ノーヴィス
- ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち北欧メタル危機一発!
次点の作品
次点として10作にいれられなかった作品もピックアップしたい。
悩んだ…
- 侍タイムスリッパー
- 花嫁はどこへ?
- ジガルタンダ・ダブルX
- 悪魔と夜ふかし
- Mommy マミー
- ベイビーわるきゅーれナイスデイズ
- ロボット・ドリームズ
おわりに
ということで2024年に映画館で観た映画を振り返る、の巻であった。
来年も引き続き映画館へ足を運びたいところ。
また筆者が今年になって映画館へ行くきっかけとなった『平山夢明のシネマdeシネマ』もまた大変おすすめなYouTubeチャンネルなので是非多くの人に観てみていただきたい。
平山先生のトークコンテンツは本当に面白いゾ