観そびれていた『ナミビアの砂漠』がキネマ旬報シアターで上映開始した。併せて山中監督が19歳の折に撮影したというデビュー作『あみこ』も上映されるということで同日に連チャンで観てきた筆者である。
立ち込める初期衝動が溢れかえっていたゾ…!
2018年公開の作品なんだな〜66分!
そんなわけで感想なんかを書き記しておきたい。
※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。
『あみこ』のおおまかなあらすじ
長野の高校生あみこはニヒリストである。
それでもある日の放課後、不意に話した別のクラスでサッカー部の人気者のアオミくんは、同じくなにやらニヒリストな雰囲気で、あみこが聴いていたRADIO HEADの曲を知っていたし、一緒に帰ろうと言われたその帰り道に魂の会話を交わした仲だと信じていた。
いたのだが、その後進展はなく、どころか会話も交わさずに半年以上がすぎていた。
ある日アオミくんが家出したと知り、その居場所を知ったあみこは、親友のカナコからお金を借りてバスで東京へと向かうのであった。
そんな感じ!
『あみこ』のほんわか感想
色濃い初期衝動が立ち込めており、物語がどう着地するのかわからない、なかなか緊張感がある作品であった。
まずなによりあみこが絶妙にかわいい。
賢いが故に少しヒネていたり、恋のようなものをしたり、クラスメイトを雑に観ていたり、レモンに漬かってみたり、叫びながら街を歩く男について行ったり、急に街行く人を踊らせたり(?)、つまるところ多分普通の女の子なのだ。
いや振り返ってたら一部やっぱ変だな…まあとにかく目が離せない主人公なのである!
特に東京に行ってからの本筋の合間合間のあみこの無軌道な若さだったり、それだけでは説明のつかない行為だったりがなにやらサイケデリックに見る側にどんどん投げかけられ「何を見せられているんだ!?」と一瞬戸惑いもするが、そんな多少変なあみこが素晴らしい。
またあみこと再開したアオミくんの動じない姿勢がかなり好き。
動じないし、あみことは魂の会話を交わせるけど、普通に可愛い女の子と一緒にいたい結構普通に男の子なアオミくんは、あみこのPUREな鉄拳を喰らうのもまた青春の一ページであろう。
めでたしめでたし
そうなの!?
66分とコンパクトながら熱量が詰まりまくった作品であった。
おわりに
ということで『あみこ』を観た!という話であった。
筆者はあみこ→ナミビアの砂漠、と連続で鑑賞したのだが、当たり前ではあろうが映画のスタイルが大変洗練されていた。
ナミビアの砂漠上映後のティーチインイベントにてちょうど「あみこ撮影時からの心情や姿勢の変化」について質問が出ており、端的に言えば「つまりおとなになった」とおっしゃっていた。
あみこを19歳で撮ったのがすごいし、19歳じゃなきゃ撮れない気もする…!
粗削りで瑞々しくも弾けた、素晴らしい映画であった。
ちなみにティーチインイベントでのその他の質問についてもナミビアの砂漠の感想記事に記録してあるため、そちらも是非読んでいただきたい。