TRAPと同じ日に同じ映画館にて「動物界」を観てきた筆者である。
トマ・カイエ監督のフランス映画となる。
世界中で動物に変異する人が現れ始めた近未来の話である。これがなかなかおもしろかったのだ
とりあえずビジュアルがすごそう…!
そんなわけで感想なんかを書き記しておきたい。
※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。
『動物界』のおおまかなあらすじ
世界中で人間が動物に変異する謎の病が発生して2年たった近未来のフランスにて、料理人フランソワ(ロマン・デュリス)はまさに変異の中途にある妻ラナを南フランスの施設へと移すことに決め、息子エミール(ポール・キルシェ)と愛犬アルベールを伴って南へと引っ越しをする。ラナは、エミールを傷つけてしまったことをきっかけとして病院へと入ることになっていた。共存を探る国もある中、フランスは人と新生物の隔離を進めていたのだった。
移住直後、嵐の夜に多くの『新生物(=動物化しつつある人)』を移送するバスが転落事故を起こし、ラナを含め40人ほどの新生物が行方不明となる。
憲兵隊曹長ジュリア(アデル・エグザルコプロス)からバス事故の捜査が打ち切られたことを聞かされたフランソワは自力でラナの捜査を始める。一方、転校して新たな学校生活を始めたエミールはクラスメイトのニナ(ビリー・ブラン)と親交を深める。ある日、自分の爪の下から鋭い新たな爪が生えていることに気づき、動転してがむしゃらにその爪を引っこ抜く。それから徐々に脊椎が隆起し、毛がほんのりと増え始め、自転車がこげなくなっていくのだが、フランソワにも打ち明けられずにいた。
ある日二人で山中を捜索中に、鳥化しつつある新生物フィクス(トム・メルシェ)にエミールが襲われる。エミールはその後も気になってフィクスの下へ通いはじめ、フィクスの飛行訓練を手伝っているうちに心を通わせる。フランソワは新たな職場でラナのような新生物の姿を目撃していた。
そしてついにフランソワはエミールの変異を察知し、同時にエミールを家族として守り抜くことを決意する。しかし伝統行事・聖ヨハネ祭にて、エミールの新生物化が知れ渡ってしまう。
『動物界』のほんわか感想
SFホラー的な趣なのかと思ったのだが(そんな向きも含んでいるものの)、むしろ親子の絆を描いた作品であった。コロナ禍初期に感じた物々しいムードが去来しつつ、未曾有の事態によって訪れる不意の親離れの切なさといったらない。
エミールの変異による「体の変化」もさることながら、挙動の変化の描き方も面白かった。1人で4人相手の綱引きに勝ったり、自転車に乗れなくなったり、食事の仕方がおかしくなったり、小動物から目が離せなくなったり、不意にクラスメイトを(物理的に)舐めてしまったりとだいぶワイルドに描かれる。
目覚めたら口からきれいな鳥の羽が出てきたりな…ポールくんの演じ方も良かったな〜
爪抜くとこ痛すぎだろ〜(あとフランスの体育の授業ってあんな感じなんだな)
共存の道を探る国もあるなか、フランスでは隔離がすすめられているということで、エミールのクラスメイトも意見がわかれていて、そのこと(+思春期なあれこれ)が決定的な状況を作ってしまうことにつながる。人間と新生物で分断は進んでしまう。この世の中の様子がもっとも恐ろしい描写と言える。
いよいよ状況的に追い詰められたフランソワが下す決断はあまりに切なく、一方で力強くもある。
フランソワを演じたロマン・デュリス氏の最後の演技まじで素晴らしかった…
とあるアニメ作品のラストを想起したりしたな(はからずも同じ動物…!)
またやはりクリーチャー造形も目を見張る。キャラクターデザインはスイスのバンド・デシネ作家(漫画家)フレデリック・ピーター氏が担っている。そして特殊メイクとCGによって艶めかしい新生物を作り出していたそうな。
こちらの動画が面白い↓
タコ少女の左目にビビった次第である。
おわりに
ということで、『動物界』を観た!という話である。
結構良かったんだよな〜おすすめである
見た目の驚きもあっていいネ