「デビルクイーン」なる映画を観てきた筆者である。
1974年に公開されたブラジルの映画だが、この度4Kにレストアされての日本初公開となったそうである。
軍事独裁政権下に撮影された異端にして伝説、と呼ばれているクィア・ギャング映画とのことだ。
クィアってのはLGBTQのQのことね
毒々しい色彩やサイケデリックな音楽が彩るちょいと珍な映画であった。
ということで感想などを書き記しておきたい
※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。
デビルクイーンのふんわりしたあらすじ
リオデジャネイロの裏社会を牛耳るのは「デビルクイーン」と呼ばれる悪魔にして女王であった。
シナを作って甘い声で囁いていたかと思えばドスの聞いた厳つい声色で脅しつける。
愛用のナイフで脚をシェーブし、使えないヤツや裏切り者の顔を刻む。
部下のギャングたちを恐怖で支配しながら、自らの王国では『ドールズ』たちと戯れる。
そんな存在である。
ある日「かわいい」お気に入りが麻薬取引でヘマをして警察にマークされていることを知る。
部下のカチトゥにスケープゴートを用意するよう指示するところで物語が動き出す。
カチトゥは女性歌手イザのヒモをしている世間知らずのベレコを騙し「仕事」に誘いいれる。
しかし言いなりになっていたカチトゥにも思惑があった。
クイーンを引きずり下ろしてシマを乗っ取ろうと画策していたのである。
カチトゥは計画をベレコや他のクイーン配下に打ち明け、クイーン抹殺に向けて動き出すのであった。
そんな感じ
デビルクイーンのほんのり感想
なんというか、珍な見応えであった。
予告編を観た時点ではなかなかテンションがあがっていたのだ。
ケバケバしい色合いやレトロなムードのコラージュ、異国情緒のある音楽、表情豊かなクイーンの存在感と、なかなかにそそるものがあった。
性的なマイノリティとギャング、という組み合わせもなかなかにフックがあるわけだが、実はモデルがいるそうな。
「マダム・サタン」っていうギャングでありドラァグパフォーマーが実際にいたらしいな(映画の時代より前の時代の人らしいけど)
そういったもろもろのムードに何やら期待が高まっていたのだ。
しかしながら一番テンションが上ったのはその予告を見てる瞬間だったわけである。
あらら
軍事独裁政権に対するなにかしらの意志が込められた作品なのかと思ったのだが、意外とストーリーはほんわかしていたり。
時代的にしかたなかったのかな?監督インタビューでは検閲で引っかかったシーンとかは特になかったらしいけど(カンヌ国際映画祭に出品することになったときにはちょいと揉めたらしい)
演出的にも、ものすごい血糊の血糊っぽさとか、小学生みのある殴り合いのポカポカした感じとか、驚愕のラストシーンとか、なんかもうイイ感じだったゾ…!
ちなみにクイーン演じるミルトン・ゴンサルヴェスの演技はなかなかにフルスイングで見応えがある(顔面が強すぎ)。
拷問シーン、あれは癖になる怖さあったな〜
イザかわいそすぎ。バカなヒモに振り回されすぎ
かわいそうランクで言えば「ヒゲ」もかわいそうだろ。
なんだよ「ヒゲ」って役名。むやみにやられちゃうし
そんな感じである。
渋谷 シアターイメージフォーラムへ行ってきた
デビルクイーンを最も早くから公開している渋谷のシアターイメージフォーラムへ行ってきた。
初めて行った
いいムードの小さめな映画館である。
気になる作品が上映している映画館なので今後も機会があったら観に行きたいところ。
ただ小さめなため座っていられる椅子が5脚のみで、館内中で待つのはちょっと大変であった(謎の席取りがされていて使えず…)。
開場は10分前で、入れ替え時は人気作だと混雑してこれまたちょいと大変であった(一個前に上映していた作品が盛況だった+他のスクリーンの終了時間が被った)。
1階のスクリーン入口付近に受付や発券機、トイレ、ゴミ箱が密集したレイアウトになっているため、入れ替え時はなかなか入り乱れてしまう。
チラシ設置してたスペースに座布団置いて、椅子撤去するのもありかも?とか、余計なことを思った次第である
来館時はトイレや発券、パンフ購入などは早めに済ませておくのがおすすめである。
おわりに
ということでデビルクイーンを観た!という話であった。
50年も前のブラジルの映画が日本で初公開される、というだけでもなんだかすごい。
さらにその映画が不思議な見ごたえときたら、はるばる渋谷に観に行ったかいがあったような。
なんだかんだ、なにやら残っているゾ
貴重な体験になりうるので気になる人は是非観てみていただきたい。