『最後の乗客』という映画を観た筆者である。
あ、冨家さん出てるやつ!
うむ。冨家ノリマサ氏、いいんだよな〜
宮城県出身の堀江貴監督が描く、震災と向き合う人のドラマであった。主演もこれまた宮城出身の岩田華怜氏が演じている。また侍タイムスリッパーにも出演していた冨家ノリマサ氏も主演として素晴らしい演技をみせていた。
そんなわけで感想なんかを書き記しておきたい。
※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。
『最後の乗客』のおおまかなあらすじ
東北のとある駅前にて、タクシードライバーの遠藤(冨家ノリマサ)はある日同僚のたけちゃん(谷田真吾)から変な噂を聞く。深夜女子大生くらいの女性が人気のない歩道におり、浜町まで乗せていくと消えるというのである。
真に受けていなかった遠藤だったが噂の歩道にて女性を乗せる。真夜中にサングラスとマスクという、明らかに怪しい出で立ちに行き先は「浜町」であった。そのまま走り出し女性に雑談を振ってみる。「娘がいるが東京に出てから帰って来ない」、そんなことを話していると突如小さな女の子連れの母親がタクシーの前に現れ、遠藤は既のところで避ける。
道路に倒れた母親(長尾純子)を病院へ連れて行こうとするも、女の子(畠山心)とともに「浜町」の家まで連れて行ってほしいと言い出す。行き先が同じならと先客の女性に相談しようとしたところ、急ブレーキによって車内で横たえていた先客はサングラスがズレており、それはなんと遠藤の娘、みずき(岩田華怜)であった。
やや気まずい雰囲気のまま、4人は浜町へと向かおうとするのだが…
そんな感じ!実はミステリーがかった構成になっているのだ
『最後の乗客』の感想
55分とコンパクトな中編映画である。「もう終わりか」というライトな見応えを感じる一方でその短い時間に配置された構造的な謎や、そこから浮かび上がる震災という体験のひとつの向き合い方にはハッとするし、冨家ノリマサ氏のいい声も詰まっている。
冨家さんまじでいい声…!終盤の慟哭にはかなりグッと来たゾ
ラストカットがひときわ美しい。その美しさとは表裏一体の自然の圧倒的な脅威が常にそこにあり、人はそれを経験したときにそれぞれの向き合い方を模索してどうにか乗り越えるしかないのだと改めて感じさせられる。
宮城県出身の監督は震災当時海外にいたそうだ。その後、監督が毎年参加しているという追悼式にて、それまで見かけなかった女性とある年に話す機会があり、その女性が「あえて特別な日にしたくなかったからこれまで参加してこなかった」と語ったことが「みずき」との出会いになったという。
ちょいと物足りなさのあるボリュームではあるが、ひとつの気づきを得られる映画であった。
またエンドロールには「津波流出写真」が用いられている。そこには腐食や退色も見られ、写し出された様々な表情の思い出とは裏腹な物悲しさもまた湛えていた。これらの5万枚に及ぶ写真は今も仙台市の市役所に保管されているそうだ。
おわりに
ということで、『最後の乗客』を観た!という話であった。元々短編で構想されていたがやや膨らんだ末に中編になったということで絶妙に観やすいサイズ感である。
海外の映画祭などでの受賞歴もなにやら数多いらしいゾ!
気になる方は是非!