平山夢明先生と京極夏彦先生のラジオ番組「東京ガベージコレクション」のかつての放送を無闇に振り返る記事である
通勤中にガベコレをリピート再生して数年が経った。
聴きすぎ
適宜、レギュラー放送以後の特別回などもはさみつつ延々と聴いている。
この魅力は何なのか…
人生で何十周聴いたかは定かではないが、今も謎の魅力から抜け出せずにいる。
そんなわけでガベコレの各回を振り返る記事を残すことにした。
珍な発言、蹴躓くようなレトリック、曲芸のようなお二人のキャッチボールの数々に改めて向き合うのだ。
今回は2010年5月に放送された回である。
リスナーから募集してた「思い出したくもない嫌な話」の回!
【ガベコレ】リスナーの「思い出したくもない嫌な話」を語る回を振り返る
オープニング【いつか叱られますよ】
京「平山夢明先生、おはようございます」
夢「京極夏彦先生、おはようございます」
京「全国津々浦、空き家の風のような恥を晒して」
夢「いつか叱られますよ」
京「僕はもう企画が決まったときから身を守る術を。いつ襲われてもいいように」
夢「やってますか。どういう感じですか。後ろからこう来たりしたら」
京「後ろはわかる」
夢「わかりますか」
京「だいたい人の前にでないようにします」
夢「最近はホームとかで後ろ気にします。微妙な人いるじゃないですか」
京「います」
夢「こないだ後ろの人が本を朗読しているようだったので聞きに行ったら「命乞い命乞い…」って行ってたので、はい、ちょっとズレました」
あいかわらず平山先生はヘンな人に当たりがち
甘栗ギャング 【お兄サン、甘栗!】
危険な甘栗ギャングの話
夢「最近は甘栗ギャング多いですね『お兄サン、甘栗』って。通り挟んで『おれ?』『アナタ』って」
京「よっぽど甘栗くいたそうに見えたんでしょうね」
夢「『今だったら2つ1000円!』って言って。でも1つ500円なんですよ。で、ノリで買っちゃったんですよ」
京「馬鹿だな〜」
夢「で1個は、たまたま歩いてたら微妙感のあるおじさんがいて、『くれ!』って」
京「あげた!?」
夢「あげた」
京「それグルですよ。人信用するとだめですよ。残念なことってあるんですよ」
甘栗ギャングこえ〜
メールを募集してた件【それは聞きづらいこと話してるから】
珍しく、メールを募集していたという話。
夢「思い出したくもない嫌な話」
京「なんか着てますよいろいろ。思い出したようにうっかり聞く人がいる」
夢「今回もいっぱい来てますケド、微妙にね、読みづらい」
京「それは聞きづらいこと話してるからですよ」
メール1 爪抜き一口メモ【ぎっちぎちに詰めてある割り箸を抜くのと同じくらい】
京「『ダイナーの受賞おめでとうございます。爪はぐシーンが忘れられません。祖母は爪剥がれた時は失神したと言ってました』。おばあさんが組織のエージェントかなんかで、掴まって地下牢で幽閉されたんですかね」
夢「そんときは多分ペンチです」
京「はいはい」
夢「ペンチでずっぽんです、ペンチでずっぽん」
京「虫歯的に」
夢「結構簡単に抜けちゃうんですよ。ちゃんと握ってれば。ニッパーじゃだめ」
京「ニッパーはだめなんだ」
夢「だめ。刻みのあるペンチでクッて」
京「爪抜きひとくちメモ的な」
夢「あ、そうだ抜かなくちゃ、ってときはね。ぎっちぎちに詰めてある割り箸を抜くのと同じくらいの力で抜けます」
京「『耳たぶくらいの柔らかさ』くらいの表現ですね。みなさんのうちにもスパイが入りこんだたときはお試しください」
メール2 ミミアカ長者【仕置人ですか?】
京「ある日、水泳の授業中に突然耳が聴い超えなくなった!と言い出したこがいました。病院に連れて行ったところ溜まった耳垢が膨張し耳の穴を完全に塞いでいたそうです」
夢「すごいね〜耳垢長者ですね」
京「風呂に入れると400倍おもちゃみたいな。あれ何回かできるんですよね」
夢「恐竜みたいな、びよーんみたいな。あれってもう一回やれるの!?」
京「形はあれですが、何回かできますよ。4回位でなんの形かわからなくなります。どうでもいいですが。お医者さんの処置が良かったらしいですよ。マッチ棒にアロンアルファを塗りつけ、そおっと耳の中にいれて耳垢を引っ張り上げたそうです」
夢「失敗したら大変じゃん」
京「松本清張先生の、家政婦は見たの一番最初のやつみたいな。矢の先にマッチ棒つけて、おばあさん耳やけどみたいな」
夢「なんですかそれ?仕置人じゃないですか?」
京「ワインのコルク栓のような耳垢が収穫できた」
夢「使徒じゃない?」
京「第15使徒、みたいな」
夢「青い反応起こしますよ」
京「で、スポーンと取れたあと、どちらかというと落ちこぼれだったその生徒はめきめき成績が上昇したらしです」
夢「科学的に証明できます。耳の奥に天才のツボがあります」
京「あ、そうすか」
夢「ラジオを聴いている人は真似しないでほしい」
積み重ねの話【無駄な努力って素晴らしいですよ】
京「東洋医学は対処療法ではない。薬効として証明されてない部分も多い。経験学習的に積み重ねです。積み重ねはだいじ。でもね人間って無駄な積み重ねとかするじゃない」
夢「無駄な努力って素晴らしいですよ」
京「中国何千年の歴史で「ここ押せばここ押せば」とかやってて完全否定されちゃうこともある」
夢「電話したらものすごい息をハアハアしてる子がいて、「風船膨らましてた」っていうんですよ。27、8の女の子ですよ。夜中に。「痩せようと思って」っていうんですよ。「風船ダイエット」とかいうので」
京「脳の血管切れそう」
夢「顎だるくならない?あれやだよね〜昔アートバルーンで使う細長い風船あるじゃない」
京「最初の一吹きにものすごい力いるやつ」
夢「プッとコブみたいにね。あれをいつまでも口に入れてるやついたよね。そいつは同じような癖があって。給食で出たうずらを口に入れて放課後まで入れてて、目があうと見せてくれる、みたいな。普通食いたくなっちゃうじゃない」
うずらの卵の話【中華料理屋を恨みましたね】
京「うずらは大事ですよ。こないだうちのオフィスの大沢在昌先生が中華丼頼んで鶉の卵はいってなかったの。そのあと機嫌悪くて悪くて」
夢「それは一大事ですよ」
京「『うずらないじゃなん!』って。中華料理屋を恨みましたね」
夢「ショートケーキのいちごと一緒ですよ」
京「中華丼のキモなんだ」
夢「『アレ』が中華丼です。両脇のタレとかご飯とかは野次馬です。あれで人間性わかる。パクっと食べちゃうやつはわかりあえる」
京「最初に?」
夢「3分の2くらい〜半分くらいのところだとこいつはイイやつってなる」
京「最初はないでしょ」
夢「こいつはだめだってなる。絶対俺が山で遭難したらおいてくヤツ。たまに最初にちょっと食って途中でもうちょい食って最後に残り食う、みたいなやつがいる」
京「あの小さなギョクを」
夢「こりゃだめだ。『こんなやつに娘はやれない』ってなる」
京「あれは一口サイズでしょ。一口で口の中で噛むってのが大事」
夢「残酷な感じしない?」
京「それはいいですけどね。僕は人形焼は首から噛み切ります。でこんな話は概ね無駄話ですよ」
夢「僕は膝を打っている人もいると思います」
京「だとしたら打っている人も無駄な人生ですよ」
エンディング【無駄な話を募集しましょう】
京「無駄な話を募集しましょう」
夢「毎日毎日好きなこと出くわすためだけに電車をのりついで」
京「3時間早く起きて遠回りして」
夢「『あいつ転校したよ』ってね」
京「一年以上気づいてなかったみたいなね。そんな話を聞かせてください、夢明に」
夢「はいはい」
おわりに
ということで嫌な話からの無駄な話について語られた回を振り返ったり、言葉を拾ってみたりした。
うずらの卵を口にずっと入れてる、って話は平山作品ファンには馴染み(?)では
ダイナーのカナコの回想に出てきたよな!
トークテーマが不意に平山先生の作品内に妙な符合を見せるのも東京ガベージコレクションの魅力の一つである。
是非、紐解いてその珍妙な世界に触れてみていただきたい。