このシリーズではBiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiREを擁する音楽プロダクションWACKの音源を紹介する。
曲はもちろん、背景などにも触れつつ紹介していきたい。
ロックでエモーショナルな曲の数々をひもときつつ、これからWACKの音楽に触れる方の少しの助けになれば幸いである。
トリ
【WACKを聴くべし】BiSH 「KiLLER BiSH」3rdアルバムの魅力に迫る
KiLLER BiSH 収録曲一覧
1. DEADMAN
2. ファーストキッチンライフ
3. オーケストラ
4. Stairway to me
5. IDOL is SHiT
6. 本当本気
7. KNAVE
8. Am I FRENZY??
9. My distinction
10. summertime
11. Hey gate
12. Throw away
13. 生きててよかったというのなら
メジャー移籍、ハグ・ミィ脱退とアユニ・Dの加入! 激動の最中の3rdアルバム
まさに激動の3rdアルバムである。
メジャー進出が決まっていながら、6人の個性をまとめるのに一役かっていたハグ・ミィが脱退した。
そして最年少のアユニ・Dが加入し新たな6人体制となる。
そんな激動の最中のアルバムである。
生と死がテーマ 剥き出しの感情が揺さぶりにかかる
内容は非常に濃密である。
裏のテーマは「生と死」だという。
本作においてもメンバーの詞が取り入れられており、すでにして当時新メンバーになったばかりだったアユニの詞も採用されている(6曲目の本当本気)。
そんなスピード感をもろに体感できるKiLLER BiSHである。
どの詞からも、彼女たちが必死に生きる中で感じずにはいられなかった思いがありありと発露している。
聴く者は心揺さぶられずにはおれないだろう。
殺人鬼イメージの5人バラバラ衣装
BiSH”KiLLER BiSH”衣装展示は本日で終了しました pic.twitter.com/qQcHh3RC8j
— TOWACK RECORDS (@TOWER_WACK) 2017年9月22日
タイトルと裏テーマに引っ掛けてか、本作では衣装を「殺人鬼モチーフ」にしてある。
この衣装が「5人バラバラの衣装」のラストになる。
デザイナーの外林氏によるとモモコが映画「IT」のピエロ的殺人鬼、ハシヤスメがキャッツ・アイっぽい女怪盗、チッチが切り裂きジャック、アイナがキル・ビルっぽい忍者、アユニが戦争映画に出てきそうな軍人、リンリンはホラー映画に出てきそうな西洋人形というイメージとのこと。
詳しくはWACKな本をチェックしていただきたい。
WACK頂上決戦なる企画の衣装対決において、外林氏が自ら各グループの各衣装について述べている。
KiLLER BiSH 収録曲紹介
01 DEADMAN
メジャー移籍後初のシングル曲。
わずか90秒ほどを駆け抜ける刹那的なパンクチューン。
大半をアイナが歌っている。
叫びのなかに微妙な表情をつけるアイナの能力はさすがである。
02 ファーストキッチンライフ
リンリン作詞の曲。
アルバム単位で聴いているとDEADMANからの流れがスムーズである。
メジャーから世間に殴り込みをかけるような詞が痛快である。
ちなみに詞のなかにメンバーを紛れ込ませているという。
03 オーケストラ
BiSHを代表する名曲のひとつである。
ストリングを用いた厚い音と渡辺氏の感傷に満ちた詞が心揺さぶる。
04 Stairway to me
タイトルからなんとなく連想させるLed Zeppelinの「天国への階段」のような構成の一曲。
アコースティックな趣のアルペジオが優しく奏でられ徐々に音が重なって行く。
そしてアウトロでハードロック全開になる。
インストパートでやたら聴かせる一曲である。
05 IDOL is SHiT
BiS最凶のラウドチューン「IDOL」をオマージュしたようなメタル感の強い曲。
作詞はそのIDOLやOTNKと同じく竜宮寺育氏による(氏の正体がわからない)。
それらとおなじくソラミミ的に英語に聴こえる日本語詞になっている。
作曲はBiSHと対バンもあったLSNのRUKA氏による。
06 本当本気
新加入した直後のアユニによる作詞曲。
陰キャの秘めたる強い思いをさらけ出す様が痛々しくも熱い。
MVも作られている。
07 KNAVE
モモコと渡辺氏の共作詞。
「大人になる寂しさ」のようなものが歌われている切なくも優しい曲。
08 Am I FRENZY??
リンリン作詞曲。
かなり荒んだ気持ちをぶちまける。
ライブではリンリンの刹那的パフォーマンスが光る。
またちょっと凝った演出も入り見た目も面白い。
09 My distinction
これまたリンリン作詞。
作曲は前作FAKE METAL JACKET収録のPrimitiveと同じく井口イチロウ氏である。
ピアノの乗るエモーショナルで厚みのある音が感動的な一曲。
10 summertime
モモコ作詞。
英語詞である。
カッティングのバッキングもあいまって晴れた日の夏っぽい趣が漂う。
11 Hey gate
アイナ作詞の曲。
今思えばかっこよかったという学校の先生を歌っているという。
12 Throw away
こちらもアイナ作詞。
なにかしらと決別すべく投げ出す決意を見せつける。
13 生きててよかったというのなら
アルバム最後を飾るのは松隈氏と渡辺氏の作詞による。
サビをメンバーでユニゾンするというシンプルながら力強いアレンジに説得力を感じざるを得ない。
聴きながら読みたいインタビュー記事
参考
BiSH『KiLLER BiSH』特集インタビューbillboard JAPAN
WACKを昔からインタビューしている平賀氏による。
アルバムについてだけではなくこの時期のメンバー間の関係性やパフォーマンスの変化のきっかけなどが語られている。
メンバー作詞曲の背景も語られる。
なぜかメンバーがインタビューを掲載してるウェブメディアを運営している会社のオフィスに侵入して微妙に散らかす、という「ゆるい無法者感」を演出する写真が掲載されており楽しげ。
参考
BiSHは負けない! 別れの痛み乗り越え、ひたむきに気持ち込めたキラー・チューン揃いの新作『KiLLER BiSH』を語る”MiKiKi
アルバムに対する思いやメンバーのお気に入り曲なんかが語られる。
おわりに
と言うことでBiSHの3rdアルバム「KiLLER BiSH」の紹介であった。
改めて聴いていてもその楽曲のクオリティの高さを感じるばかりである。
昨今のBiSHを知って作品を遡っている方やこれからBiSHやWACKの音楽に触れる方の一助となれば幸いである。
いやはや、それにしてもBiSH、面白いものである。