このシリーズではBiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiREを擁する音楽プロダクションWACKの音源を紹介する。
曲はもちろん、アートや背景などにも触れつつ紹介していきたい。
ロックでエモーショナルな曲の数々をひもときつつ、これからWACKの音楽に触れる方の少しの助けになれば幸いである。
トリ
【WACKを聴くべし】BiSH 「Brand-new idol SHiT」はじまりの1stアルバム【アルバム紹介】
「Brand-new idol SHiT」収録曲
「Brand-new idol SHiT」はBiSHがインディーズで初めてリリースしたアルバムである。
13曲収録。
1. スパーク
2. BiSH-星が瞬く夜に
3. MONSTERS
4. Is this call??
5. サラバかな
6. SCHOOL GIRLS,BANG BANG
7. DA DANCE!!
8. TOUMIN SHOJO
9. ぴらぴろ
10. Lonely girl
11. HUG ME
12. カラダ・イデオロギー
13. Story Brighter
渡辺氏×松隈氏のタッグが再始動
「もういちどBiS」を始める、と渡辺淳之介氏が宣言したのが2015年のことである。
参考
【新連載】BiSH~Rock’n Roll Swindle~ 二番煎じは本物を超えられるのか?!ーーEpsode0 渡辺淳之介インタヴューototoy
そのプロジェクトは旧BiSで素晴らしい曲の数々を作ってきた松隈氏と渡辺氏のタッグであった。
旧BiS後期からBiSにはまっていった筆者にとっては、これには期待せざるを得なかったわけである。
余談だがBiS階段のアルバムをたまたま聴いたのが筆者がBiSを知る切っ掛けである。
それ以後、現場にはほとんどいっていないながら音源は欠かさず追った。
松隈氏と渡辺氏の作る音楽のファンなのである。
バラエティーに富んだ曲の数々
このアルバムに関しては松隈氏が作曲を担当していない曲も半分くらいある。
それらを松隈氏とSCRAMBLESによる編曲によってまとまりをだしているわけだが、しかし多彩なアルバムになっている。
アイドルらしからぬ攻撃的な曲から混迷を極めるカオスな曲まで様々だ。
またインディーズでのデビューアルバムながら、メンバーが作詞に参加しているのもWACKの特徴のひとつではなかろうか。
オーディションに合格したメンバー5名が集結する
BiSHとなったのは以下の5名。
アイナ・ジ・エンド
セントチヒロ・チッチ
ハグ・ミィ
モモコグミカンパニー
ユカコラブデラックス
デビュー直前にメンバー脱退す
オーディションを通過する、ということは応募した本人にもどこか想像の及ばないところにあるのだろうか。
BiSHが始動せんとしていた3月27日、BiSHの初期メンバーになるはずであったユカコ・ラブデラックスが脱退した。
それについてはインタビューが残っている。
参考
【BiSH】Epsode3 ユカコラブデラックス、初インタヴュー「脱退」ototoy
このアルバムの最初の曲にしてBiSH始まりの曲「スパーク」にのみ彼女の歌声が残っている。
それまでバンドをやっていたというユカコ氏であるが、その声と歌い方にはどこかしっとりと艶があり、もう少し聴いてみたかったと思わなくもない。
またアルバムに収録されているMONSTERSの歌詞を担ったのも彼女であった。
他にも2曲作詞しており、それらの詞はどこか異質で、痛みを伴う寂しさが感じられる。
そんな風に聴いていると非常に惜しい気持ちにかられるのであった。
「Brand-new idol SHiT」収録曲紹介
スパーク
BiSHの最重要曲のひとつで、最初に公開された曲でもある(ただし、フリーダウンロードできる形で、しかも渡辺氏がボーカルであった)。
その後「(本物)」と銘打たれたバージョンがSoundcloudにて公開されている。
アイドルソングとは思えない渋い印象すらあるバンドサウンドはどこか乾いた響きで、しかしとても優しい。
Soundcloud版は入りが異なり、ギターの音もどことなくウォームな質感である。
余談だが車でこの曲をかけていたら、筆者の社畜仲間はひどく気に入りその後BiSHのアルバムを全てかすことになった。
BiSH 星が瞬く夜に
BiSHのアンセム、「BiSH -星が瞬く夜に-」である。
時にライブで何度も連打されてきた歴史がある。
サウンドは軽快でアップテンポな音が心地よい。
その詞は渡辺氏と松隈氏(作詞時、渡部氏は「JxSxK」と言う名義を使用している)による。
BiSHそのもののことを歌っているように聴こえる。
BiSHとして初公開されたMVも衝撃的である。
今でこそ「楽器を持たないパンクバンド」としてメジャーにいる彼女らだが、当時は「新生クソアイドル」である。
ちなみに一本足で立つ振り付けが非常にかわいい。
MONSTERS
デビュー前に脱退を決めてしまったユカコラブデラックスが作詞したラウドチューンである。
アイナの雄叫びが響き渡る。
歌割りのかなりのウェイトをアイナが担当しており、その力量をデビュー当時から遺憾無く発揮している。
アイドルらしからぬ一曲。
ハシヤスメ・アツコとリンリン加入後かつハグ・ミィ脱退前の6人体制にてMVが作成されている。
どことなくFULL METAL JACKET風なMVである。
Is this call??
うってかわってゆったりとしたテンポの曲である。
盛り上がりにあわせて厚みを増すバンドサウンドが心地よい。
アイナ作詞の歌詞もよい。
チッチの声もいい!
サラバかな
筆者が最も好きな曲のひとつである。
このアルバムでは松隈氏の作曲ではない曲も多いわけだが、この曲の作曲は蟲ふるう夜にの慎乃介氏による。
疾走感のあるバッキングとエモーショナルなメロディがなんともグッとくる。
またアウトロの展開のしかたがかっこよい。
2018/12に公開された現体制のライブを貼り付けておく。
SCHOOL GIRL, BANG BANG
チッチ作詞の一曲。
今のチッチの担当はこの曲の詞から、「これでも彼氏は二人まで」担当となっている。
筆者はといえば、三人目でも構わない。
DA DANCE!!
モモコ作詞の一曲。
歌い出しもモモコである。
なんとも楽しげな曲である。
TOUMIN SHOJO
ちょっと不穏な響きの曲である。
そして作詞はユカコ。
なかなかひりひりする詞である。
ぴらぴろ
カオスな一曲である。
ハードなAメロから聴かせるBメロ、そして炸裂する変なサビと目まぐるしい。
総合的にやたらかっこよいのであった。
作詞はモモコである。
Lonely girl
これまたユカコ作詞曲である。
Bメロが切に迫ってくるものがある。
HUG ME
ハグ・ミィな曲。
作詞もハグ・ミィである。
カラダ・イデオロギー
これまたカオスな曲である。
ともすればふざけているような面白味がある。
最後にメンバーの笑い声が録音されているのもなんだか良い。
STORY BLIGHTER
松隈氏の曲!という趣に満ちた名曲。
小気味良いバンドサウンドにうっすらと帯びた哀愁がすばらしい。
作詞はチッチである。
これからのBiSHの道を指し示すような決意と希望を感じる一曲。
終わりに
と言うことでBiSHのデビューアルバム「Brand-new idol SHiT」の紹介であった。
改めて聴いていてもその楽曲のクオリティの高さを感じるばかりである。
昨今のBiSHを知ってその最初の作品まで遡っている方やこれからBiSHやWACKの音楽に触れる方の一助となれば幸いである。
いやはや、それにしてもBiSH、面白いものである。