このシリーズではBiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiREを擁する音楽プロダクションWACKの音源を紹介する。
曲はもちろん、背景などにも触れつつ紹介していきたい。
ロックでエモーショナルな曲の数々をひもときつつ、これからWACKの音楽に触れる方の少しの助けになれば幸いである。
トリ
【WACKを聴くべし】EMPiRE「EMPiRE originals」
EMPiRE「EMPiRE originals」収録曲
2018年4月11日発売
- EMPiRE originals
- S.O.S
- Dope
- SO i YA
- Talk about
6人体制本格始動を告げるミニアルバムEMPiRE originals
2018年5月1日の初のワンマンライブにて、ハードな行程を完遂したEMPiREである。
YUiNAの移籍直前の最後の5人体制と新メンバーMAHOとMiKiNAを迎えた6人体制でのライブを同日立て続けに披露しているのだ。
体制を変更してから初の音源にあたるミニアルバムである。
リード曲の完成度の高さも相まって、筆者の中では期待が非常に高かったアルバムでる。
この「EMPiRE originals」は全5曲ながら、EMPiREの楽曲の幅を広げつつ前進する姿を目の当たりにできる名盤といえる。
また、デビューアルバムを6人体制で再録した『THE EMPiRE STRiKES START!![NEXT EDiTiON]』が付いたバージョンも発売されており、そちらも見逃せない。
新メンバー MAHO EMPiREとMiKiNA EMPiRE
さて、本作にて新メンバーが加入している。
二人とも声に存在感がある。そんな2名について簡単に触れたい。
MAHO EMPiRE
MAHOはしっとりとした声が非常に魅力的な新メンバーである。
デビュー直後の単独インタビューにて語られた想いには、筆者としてはかなり感銘を受けたものである。
「いかにもな優等生」をやって来たそれまでと決別すべくWACKの門を叩くと言うエピソードにはかなり感動させられてしまった。
落ち着きがあり、しっかりと考えをもって活動に臨んでいることが伺える。
参考
【EMPiRE】Epsode7 MAHO EMPiRE インタヴュー「グループのことを1番に考えられる存在になりたい」OTOTOY
ちなみにWACK内のシャッフルユニット「HOLY SHiTS」にも参加したことがある。
MiKiNA EMPiRE
MiKiNAはアンニュイな表情がなんとも良い感じの存在である。
オーディション合格直後においては歌唱面などで力量差を感じているようだが、声の色には特徴がありメンバーの中でのフックとなっている。
筆者個人としてはそこの伸び代がかなりあるのではと見ており、今後も注視したいばかりである。
参考
【連載】Episode14 MiKiNA EMPiRE「お客さんが自分から観たいと思うライヴをしたい」OTOTOY
何やら不器用な側面を持ち合わせているようだが、それでもメンバーと信頼関係を築きつつ経験を積み重ねているようである。
それにしても二人とも初めから堂々とパフォーマンスしており、いきなりメジャーの舞台に立つことになったEMPiREには合っていたのだと感じさせる。
EMPiRE originals 収録曲紹介
EMPiRE originals
ミニアルバムのタイトルを冠した一曲目。EMPiREの新たな音楽性が感じられる名曲である。
楽器の使い方が豪華な印象の曲である。
ティンパニー的な打楽器が荘厳さを演出し、EMPiREらしい帝国っぽさを醸し出している。
曲のテーマは「未完成」だという。
オリジナルメンバーではなくなったものの、この6人からEMPiREオリジナルと完成を目指し続ける決意を感じさせる。
MVも凝っておりこれまた必見といえる。
撮影場所は茨城県の七ツ洞公園である。
筆者は別件で訪れたことがある。
何度も観ているMVなのだが、完全に豪華なセットだと思いこんでいた。
照明がすごいからであろうか?
いやはや、良いMVである。
S.O.S
軽快なギターがEMPiREとしては珍しい一曲。
爽やかな曲調ながら詞の中身はなかなか崖っぷちというかひりひりするものがある。
こちらもMVが発表されている曲である。
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」感のある演出になっている。
ソロやペアのダンスパートがあり、なんとも可愛らしい振り付けも垣間見れる。
Dope
EMPiREの曲の中でも屈指の珍曲である。
シタールが使われていたり、MAYUとMAHOがわざとあごをしゃくってレコーディングしたというボーカルにより珍妙な趣が出まくった曲となっている。
作詞はMAYU EMPiREによる。
インド→暑そう→砂漠→喉乾く、的な連想から作られているそうな。
おもしろいのでじっくり聴くべし。
SO i YA
おしりぺんぺん方面の勢いを感じる曲。
ライブで非常に盛り上がりそうである。
焦燥感を伴って疾走する勢いのある曲に仕上がっている。
テンションを高めきった先のMiDORiKOのシャウトでカタルシスを得られる圧巻の曲構成となっている。
作詞はMAHOが担当。
合宿に受かって加入したばかりの私が今書く意味みたいなのも大きいと思って、夢を達成していくことを書きたいなと思って書きました。曲調的にライヴ映えする曲だなと思ったので、ライヴでEMPiREのメンバーが歌っていたらいいなと思うフレーズを選んでいて。〈かかってこいや〉って歌詞があるんですけど、EMPiREはまだ下っ端でもがいてる感じもあるので、それを吹っ切って、かかってこいよってことを言ったらかっこいいなと想像して、EMPiREのみんなに言ってほしい言葉を書きましたね。
あと、〈つぼみだっていつかは咲くのですよ 遅い そんなのあなたの小言でしょ〉って歌詞は、完全に自分のことを書いていて。正直、アイドルになるとしたら私は一般世間的に遅いんですよ。だけど、周りの遅いって言葉を鵜呑みにして自分の人生潰すのはもったいないっていうことを伝えたかった。夢を諦めて、あのとき遅くなかったなと後々後悔したらすごくもったいないじゃないですか? そういうふうに一歩踏み出せない人って、たくさんいるだろうなと思って。誰かの小言はいいから頑張って! ってことを言いたかったんです。
参考
【連載】Episode13 MAHO EMPiRE「変わらなきゃいけないし、変わったものを見せないといけない」OTOTOY
Talk about
ラストは落ち着きのある可愛さのある曲調のTalk aboutである。
作詞はYUKAが担当している。
前作ではやや暗い詞を書いていたYUKAだが、今回は現実逃避的にプロポーズにまつわる詞を書いたそうな。
曲調が活きるなんともいいコトバのチョイスを端々に感じる。
併せて読みたいインタビュー
参考
EMPiRE『EMPiRE originals』 新体制となった未完成の6人が表現する、初々しさの先にある帝国の栄えある未来とは?MiKiKi
YUKAやMAYUの作詞曲についてもコメントされている。
参考
EMPiRE『EMPiRE originals』新体制初全員合同インタビューbillboard JAPAN
a-nation’18にて爪痕を残した彼女らの奮闘について語られている。
おわりに
と言うことでEMPiRE6人体制の初音源であるミニアルバム「EMPiRE originals」の紹介であった。
5曲ながらメンバーとグループの魅力が詰まった必聴盤となっている。
EMPiREの曲をこれから聴く方は是非聴くべきであり、また最近WACKに興味を持った方も是非聴くべきだろう。
いやはや、それにしてもEMPiRE、面白いものである。