このシリーズでは在宅WACK SLAVEな筆者がBiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiREを擁する音楽プロダクションWACKの音源を紹介する。
曲はもちろん、背景などにも触れつつ紹介していきたい。
ロックでエモーショナルな曲の数々をひもときつつ、これからWACKの音楽に触れる方の少しの助けになれば幸いである。
WACKのグループEMPiREが2019年12月18日に2ndアルバム「the GREAT JOURNEY ALBUM」をリリースした。
トリ
先行して配信が始まっていたため筆者は早速購入して聴き込んだわけである(今回も激安な300円リリースである)。
今回のアルバムはEMPiREのさらなる進化を見せる鮮烈でいて充実の内容となっていた。
ということで紹介していきたい。
【WACK】EMPiRE「the GREAT JOURNEY ALBUM」はEMPiREの「オリジナル」を垣間見せる!?
the GREAT JOURNEY ALBUM 概観
全10曲収録+ボーナストラックで構成されている。
メンバーによる作詞曲が半分で、特にMAHOやNOWの活躍が顕著。
曲においてもハッとさせるほど新しいものもあり、しかしEMPiREの曲らしさはしっかりとある気がする。
映像作品も多く公開されており、どれも大変見応えがあるので併せて楽しむべきだろう。
the GREAT JOURNEY ALBUMの収録曲
- Have it my way
- WE ARE THE WORLD
- ピアス(the GREAT JOURNEY ver.)
- A journey
- RiGHT NOW
- きっと君と
- SUCCESS STORY
- NEW WORLD
- 曲がりくねった道の
- I have a chance!!
- SELFiSH PEOPLE(the GREAT JOURNEY ver.)
Have it my way
作詞:MAHO EMPiRE、YU-Ki EMPiRE、MiDORiKO EMPiRE
作曲:松隈ケンタ
EMPiREが現実逃避へと誘うアルバム一曲目。
渡辺氏が「EMPiREにしかできない」と語っていたという一曲。
攻撃的な音はこれまでにないほどデジタルな歪みを伴い、スリリングですらある。
そこにのるメンバーの歌もまた挑発的でかっこよい。
ラップ調のサビもおもいのほか尖っており驚かされる。
ちなみにYEAHHH WOOOOO!!!!!!という歌詞ははじめから担当がMiDORiKOとYU-Kiに決まっていたそうな。
そしてトリプルリード曲のひとつとして先立って公開された田辺秀伸氏によるMVも白眉。
NOWの加入以降、メンバーのダンスにもキレがましているように感じる。
そこも是非注目したい曲である。
最後の決めにおけるMAYUのコート捌きがカッコ良すぎるので必見である。
WE ARE THE WORLD
作詞:JxSxK
作曲:松隈ケンタ
トリプルリード曲の2曲目。
EMPiREらしいエレクトロな要素も強く持ちつつも、新機軸とも感じられる雄大さを感じる一曲である。
それでいて歌詞はEMPiREの世界へ誘う内容でいて、なんとも女の子な趣があり可愛らしくもある。
個人的には、所属事務所WACKの先輩でもあるBiSHにおけるGUERRiLLA BiSHのような存在感のある曲とも感じられる。
大喜多正毅氏による超然とした趣のMVもこれまた秀逸。
MV用の衣装における6人並んだビジュアルがかっこよすぎる。
ピアス [the GREAT JOURNEY Ver.]
作詞:松隈ケンタ、JxSxK
作曲:松隈ケンタ
YUKA脱退前の最後の曲が、現体制で再録されている。
1stアルバム収録のEMPiRE originalsの系譜とも感じられるきらびやかな音が印象的。
その明るい音と、餞ともとれる切なくエモーショナルな歌に心揺さぶられる。
脱退発表と同時期に公開されたMVもまた何かを葬送するかの様な物悲しさに満ちており、しかしそれでも前に進むしかないという当時のストーリーも相まってグッとくるものがある。
WACKの曲には常に自身の物語がつきまとうのであり、目が離せないのだと思う筆者であった。
ちなみにピアスはTVアニメ「FAIRY TAIL」ファイナルシリーズ 第2クール EDテーマとのタイアップでもある。
A journey
作詞:JxSxK
作曲:松隈ケンタ
トリプルリード曲の3曲目。
決意、あるいは焦燥を感じさせるようなメインのフレーズが印象的である。
渡辺氏による歌詞がそれをさらに加速させる。
ピアノが要所に散りばめられ彩りを添え、そしてBメロからサビにかけての高まりゆくドラミングが盛り上がる構成がかっこよい。
大久保拓郎氏によるMVのテーマはSKiNとのことで、かつてなく大胆なアプローチである。
うむ。
RiGHT NOW
作詞:JxSxK
作曲:松隈ケンタ
シングルにて発表されていた一曲。
なんとも盛り上がりそうな陽気さを兼ね備えておりかっこよし。
炎まみれなMVも刺激的な仕上がりといえる。
火の輪は本当にくぐっているそうな。
ちなみにTVアニメ「ブラッククローバー」第9クール OPテーマである。
きっと君と
作詞:MAHO EMPiRE
作曲:松隈ケンタ
静かな夏の夜のような情緒に満ちた曲。
EMPiREには珍しく和風な趣が新鮮でもある。
メンバー間でも、メンバーのいつもと違う歌い方を知ることができたという発見のあった歌だそうな。
作詞・振り付けともにMAHOが担当している。
SUCCESS STORY
作詞:松隈ケンタ、JxSxK
作曲:松隈ケンタ
シングル曲。
バーニングやファイティングといったちょっと外したような歌詞のチョイスが面白い曲である。
Aメロのスチールドラムのようなアフリカン(?)な音がなんか気になる。
ハンガリーで撮影されたというMVも先立って公開されている。
「SDガンダム ジージェネレーション クロスレイズ」OPテーマである。
NEW WORLD
作詞:MAYU EMPiRE
作曲:松隈ケンタ
わりとゴリゴリなリフで抑圧したような展開をこねくりまわし、開放されるサビで浮遊感が溢れまくる。
幅を広げゆくEMPiREを感じられる曲になっている。
歌詞はMAYU担当。
割と暗めな内向的な歌詞の傾向があったMAYUだが、わりと吹っ切れたような詞になっている。
曲がりくねった道の
作詞:NOW EMPiRE、MAHO EMPiRE
作曲:松隈ケンタ
マーチングドラムにのせた行進曲のようなイントロとAメロがなんとも可愛らしい。
なにげにわりとくせになる曲である(不意に頭の中でリピートしたりする)。
歌詞はNOWとMAHOによる。
NOWのなんとも可愛らしい言葉のチョイスが新鮮ですらある。
I have a chance!!
作詞:EMPiRE
作曲:松隈ケンタ
ラストはI have a chance!!である。
軽快なバンドサウンドとふにゃふにゃしたAメロの歌がまずもって印象的である。
サビにはふしぎなキラキラサウンドが常にうっすらと鳴り響きボーカルのリバーブも相まってなんだかどこか夢心地な雰囲気になっている。
WACKにおける、レリビの系譜とでも言うのだろうか、Story Brighter、Let’s GOどうもなどの名曲の数々をオマージュしたような構成・音もやはりWACKらしく、どうにもエモーショナルなのである。
アルバム発売直前にして、エリザベス宮地氏によるMVが公開されている。
アスペクト比や画質がMAD LOVE的な感じの仕上がりになっているのもともすれば感慨深いような。
舞台裏を捉えたようなカットが数多く用いられており、メンバーがみなとてつもなく愛おしい。
SELFiSH PEOPLE(the GREAT JOURNEY ver.)
ボーナストラックはYUKA最後の活動となる24時間イベント「TWENTY FOUR HOUR PARTY PEOPLE」の直後、EMPiRE公式サイトにて発表された曲である。
歌詞が結構衝撃的。
初期BiSの「豆腐」のようなニュアンスを感じずにはおれないだろう。
デジタルロック感のある勢いと、刺々しい詞、咆哮、かっこよいのである。
戒めとか、決意なのではなかろうか(わからん)。
合わせて読みたいインタビュー
SKREAM!! EMPiREが創り上げた独自性とライブの強さ avex制作スタッフの証言と共に2ndアルバムを紐解く
参考
EMPiREが創り上げた独自性とライブの強さ avex制作スタッフの証言と共に2ndアルバムを紐解くReal Sound|リアルサウンド
avexの制作スタッフへの異色のインタビュー。読み応えがあるのでおすすめ。
MiKiKi EMPiREが創り上げた独自性とライブの強さ avex制作スタッフの証言と共に2ndアルバムを紐解く
参考
EMPiRE『the GREAT JOURNEY ALBUM』 ライヴ感を意識したニュー・アルバムがめざす未知の未来とは?MiKiKi
「EMPiREらしさ」を見出しつつあるメンバーのアルバム紹介。
音楽ナタリー EMPiRE「the GREAT JOURNEY ALBUM」インタビュー
参考
EMPiRE「the GREAT JOURNEY ALBUM」インタビュー音楽ナタリー
NOWの成長についてや、MV撮影についてまで幅広く話題が展開される大容量のインタビュー。
SKREAM!! EMPiREのひとつの道が見えた ライヴ間重視の2ndフル・アルバムに迫る1万字インタビュー
参考
EMPiREのひとつの道が見えた ライヴ間重視の2ndフル・アルバムに迫る1万字インタビューReal Sound|リアルサウンド
歌唱面を力強く支えるMAHOとMAYUの2名のインタビュー。
おわりに
ということでEMPiREのthe GREAT JOURNEY ALBUMの紹介であった。
スケールと迫力をます曲は大変聴き応えを感じる。
そしてまたことごとくハイクオリティな映像作品も併せて楽しむべきだろう。
いやはや、それにしてもEMPiRE、この先も見届けるしかないだろう。